VCスタートアップ健康保険組合とは?加入するメリットデメリットを解説

2025.03.25

#スタートアップ健康保険組合

VCスタートアップ健康保険組合とは?加入するメリットデメリットを解説

VCスタートアップ健康保険組合はどのような健康保険なのでしょうか。本記事ではVCスタートアップ健康保険について、加入条件やメリットなどを詳しく解説します。自社が活用する健康保険組合を検討する際にご参考ください。

 

目次

VCスタートアップ健康保険組合とは?スタートアップ企業の健保事情 国内初のスタートアップ企業向けに特化した健康保険組合 これまでのスタートアップ企業向けの健康保険の状況 VCスタートアップ健康保険組合への加入条件 VCスタートアップ健康保険組合に加入する4つのメリット 協会けんぽよりも一般保険料率が低い 電子申請が可能なため運用負担を軽減できる 法定健診を考慮した健診サービスが受けられる 病気や怪我の場合の現金・現物支給が充実している VCスタートアップ健康保険組合に加入する前に知っておきたい注意点 スタートアップ企業というだけでは加入できない 将来の保険料率が予測できない 企業の成長に伴い、活用しにくくなる可能性がある VCスタートアップ健康保険組合に加入する流れ スタートアップ企業の健康保険への加入義務とタイミング VCスタートアップ健康保険組合に加入する際の疑問 VCスタートアップ健康保険組合で受けられるサービスは? パートタイマーも被保険者になるか? VCスタートアップ健康保険組合への加入で従業員の健康管理を促進しよう

 

2024年6月1日に運営を開始したVCスタートアップ健康保険組合は、保険料率や運用の面で通常の健康保険よりもメリットを多く受けられます。ただし、全てのスタートアップ企業が対象になるわけではないため、加入条件には注意が必要です。

スタートアップ企業の健康保険選びに悩む方々へ、VCスタートアップ健康保険組合の基本情報から具体的な加入の利点と注意点まで、詳しく紹介します。スタートアップ経営者や従業員の皆さんが保険選びを行ううえでの参考にしてください。

VCスタートアップ健康保険組合とは?スタートアップ企業の健保事情

2024年6月1日から発足した、VCスタートアップ健康保険組合について概要を見ていきましょう。

国内初のスタートアップ企業向けに特化した健康保険組合

VCスタートアップ健康保険組合は、2024年4月24日に厚生労働大臣の認可を受け、2024年6月1日に運営を開始した新しい健康保険組合です。日本で初めてスタートアップ企業専用に設立された組合で、一般社団法人VCスタートアップ労働衛生推進協会が運営しています。

本社は東京都千代田区にあり、2024年7月5日時点で協賛企業は41社、申し込み済み企業は508社に達しています。

これまでのスタートアップ企業向けの健康保険の状況

これまでスタートアップ企業が選べる健康保険の選択肢は限られていました。主に「協会けんぽ」への加入が一般的で、独自の健康保険組合を設立するのは要件が厳しく難しい状況でした。

一方、協会けんぽの健康保険料率は都道府県ごとに異なり、企業規模が拡大すると、組合健保への切り替えを検討するケースもあります。しかし、VCスタートアップ健康保険組合は赤字企業でも加入可能であり、保険料率の低さも特徴の1つです。

VCスタートアップ健康保険組合への加入条件

VCスタートアップ健康保険組合は、ベンチャーキャピタルやプライベートエクイティの投資ファンドが運用する企業、またはそれらの投資先のスタートアップ企業を対象としています。

加入条件は、公租公課の滞納がないこと、加入企業の平均標準報酬月額や平均年齢、被扶養率が業界平均と大きく乖離していないことが求められます。また、みずほファクター株式会社トータルネットに対応する銀行での口座振替が可能であることも必須条件です。

これらの条件をクリアできれば、スタートアップ企業も安定した健康保険の提供を受けることが可能となります。

VCスタートアップ健康保険組合に加入する4つのメリット

VCスタートアップ健康保険組合に加入するメリットは、一般保険料率の低さやサービスの充実度にあります。条件を満たしているなら加入も候補に入れておきましょう。

協会けんぽよりも一般保険料率が低い

VCスタートアップ健康保険組合の一般保険料率は8.98%(介護保険料率2.18%)と、全国健康保険協会(協会けんぽ)の2024年度全国平均保険料率10%よりも低い設定です。このため、スタートアップ企業が協会けんぽに加入する場合と比べ、事業者や従業員の負担が軽減されます。特に資金繰りが課題となるスタートアップ企業にとって、負担軽減は大きなメリットとなるでしょう。

電子申請が可能なため運用負担を軽減できる

VCスタートアップ健康保険組合では電子申請を採用しているため、申請や書類のやり取りを24時間行うことが可能です。そのため、書類の印刷や郵送の手間がなくなり、申請業務の負担を減らせます。

さらに、郵送ではないため、誤送による個人情報漏洩のリスクも低減されます。安全面においても電子申請はメリットがあると言えます。

法定健診を考慮した健診サービスが受けられる

VCスタートアップ健康保険組合では、法定健診に対応した各種健診サービスを提供しています。厚生労働省の指針や専門学会のガイドラインに基づいた、基本健診や生活習慣病予防健診、特定健診、婦人科健診などが受けられます。

保険組合に加入することで、従業員の健康が維持され、医療費給付もおさえられます。従業員の健康を守る取り組みは、企業全体の生産性向上にもつながるでしょう。

病気や怪我の場合の現金・現物支給が充実している

VCスタートアップ健康保険組合は現物支給と現金支給の両面で手厚いサポートを提供しています。現物支給には療養の給付、入院時食事療養費、訪問看護療養費、現金支給では傷病手当金、出産手当金、高額療養費が含まれます。

業務外の病気や怪我が対象となるため、従業員にも安心感を与えるでしょう。

VCスタートアップ健康保険組合に加入する前に知っておきたい注意点

事業者にとって魅力的なメリットが多い健康保険ですが、注意点もあります。実際に加入する前に、知っておきたいポイントを紹介します。

スタートアップ企業というだけでは加入できない

VCスタートアップ健康保険組合は、黒字経営が条件ではなく、赤字のスタートアップでも加入可能ですが、ベンチャーキャピタルの投資先であることが必須条件です。つまり、ベンチャーキャピタルからの出資を受けていないスタートアップ企業は、加入が許可されません。

条件に合致しない場合、他の選択肢も検討しましょう。

将来の保険料率が予測できない

VCスタートアップ健康保険組合はまだ創業したばかりで、将来保険料がどのように変動するかは不明です。現在は協会けんぽよりも保険料率が低いものの、保険料がどれだけ上昇するかは予測が難しいでしょう。

将来的な保険料の変動に備えることが必要になります。

企業の成長に伴い、活用しにくくなる可能性がある

VCスタートアップ健康保険組合は、スタートアップ企業の初期ニーズに特化しています。しかし、企業が成長して従業員の年齢層が広がると、若年層向けに設計されたサービスが合わなくなる可能性があります。

さらに、企業が海外展開を図った場合、海外拠点では健康保険の活用が難しい場合があります。従って、企業規模の拡大や事業の多様化に伴って、保険組合の見直しを検討する必要が生じるかもしれません。

VCスタートアップ健康保険組合に加入する流れ

VCスタートアップ健康保険組合に加入するには、次の4つのステップを踏みます。

  1. オンライン申し込み
  2. 事前審査と2次審査
  3. 説明事項への同意
  4. 厚生局の認可

うち、実際に企業が行う手続きは公式サイトからの申し込みと、2次審査のための書類提出、説明事項への同意の3つです。それぞれの詳細は次の通りです。

1.オンライン申し込み: まず、VCスタートアップ健康保険組合の公式サイトからオンラインで申し込みます。この段階で基本情報を入力し、事前審査のためのデータを送付します。

2.事前審査と2次審査: オンライン申し込み後、事前審査が行われます。審査を通過すると、2次審査のための詳細な資料提出が求められます。会社の財務状況や事業計画などの資料が必要になることもあるため、注意しましょう。

3.説明事項への同意: 2次審査を通過した企業は、加入前に保険組合から提供される説明事項に同意する必要があります。保険の詳細や義務、権利に関する情報は念入りに確認しましょう。

4.厚生局の認可: 説明事項に同意後、保険組合は厚生労働局へ正式な認可を申請します。この認可が下りると、正式に健康保険の適用が始まります。

スムーズに健康保険組合への加入ができるよう、必要な書類や情報を正確に、かつ迅速に提供するようにしましょう。

スタートアップ企業の健康保険への加入義務とタイミング

健康保険へ加入する義務は、法人事業所や常時従業員が5人以上いる個人事業所に課されています。法人化した際や従業員が5人以上になった時が加入の主なタイミングです。ただし、加入すると事業主と従業員の双方に保険料の負担が発生するため、従業員の同意を得ることが重要となります。

また、加入義務がない場合でも、従業員の半数以上が同意していれば申請が可能です。このように、加入のタイミングを見極め、適切な手続きを行うことが企業運営には求められます。

VCスタートアップ健康保険組合に加入する際の疑問

最後にVCスタートアップ健康保険組合に加入する際に、よくある疑問について解説します。

VCスタートアップ健康保険組合で受けられるサービスは?

VCスタートアップ健康保険組合は、加入者の医療費請求や健診情報などのデータ分析を基にして保健サービスを提供しています。業務外の病気やケガ、出産、死亡時の各種給付である現物給付も充実しており、医療費や療養費の負担を軽減します。

具体的な現物給付は次の通りです。

  • 療養の給付
  • 入院時食事療養費
  • 入院時生活療養費
  • 訪問看護療養費
  • 保険外併用療養費
  • 高額療養費
  • 高額介護合算療養費
  • 傷病手当金
  • 出産手当金
  • 出産育児一時金
  • 高額療養費
  • 埋葬料

また、医療費の立替払いや特定の手当金などの現金給付も可能です。

パートタイマーも被保険者になるか?

パートタイマーも特定の条件下であれば、VCスタートアップ健康保険組合の被保険者になれます。条件としては、週の所定労働時間が20時間以上、雇用期間が2カ月以上予定されていること、月額賃金が8.8万円以上であること、学生でないことが挙げられます。

これらを満たすパートタイマーで、常時100人を超える特定適用事業所、または労使合意に基づく100人以下の事業所で働いている場合は、加入が可能です。ただし、後期高齢者医療制度の被保険者はこの対象外となります。

VCスタートアップ健康保険組合への加入で従業員の健康管理を促進しよう

VCスタートアップ健康保険組合は、2024年6月1日に運営が開始された新しい健康保険組合です。この組合は、協会けんぽと比較して一般保険料率が低く、電子申請対応により手続きの負担が軽い点が特徴の1つです。スタートアップ企業にとって、福利厚生を充実させながらコストをおさえる選択肢として魅力的といえます。

健康保険の加入を検討する際は、協会けんぽに加えて、VCスタートアップ健康保険組合も視野に入れてみてください。

また、スタートアップ企業の成長には、健康保険などの福利厚生の充実とともに資金繰りの最適化を図ることも求められます。弊社では、期日の迫った請求書をクレジットカードで支払うことで、最大60日後に支払い延長可能なサービス「請求書をクレジットカード払いにできる、Vankable 請求書カード払い」を提供しています。資金繰りの改善手段の1つとして、ぜひご検討ください。

従業員の健康管理を促進し、また財務面でも安定した経営基盤を整えることで企業の成長へとつなげましょう。

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