RBFとは?スタートアップ企業が活用するメリットやほかの資金調達との違いを解説
RBFは、将来の売上の一部を現金化する資金調達方法です。特に、成長期にあるスタートアップ企業や収益性が見込まれるビジネスにとって、有用な選択肢といえます。
本記事ではRBFの仕組みや種類、メリットとデメリット、RBFを行うための具体的なサービス例を詳しく解説します。自社に適切な資金調達の手段を選ぶ際の参考としてご活用ください。
目次
RBFとは
RBFの種類
■定額制
■変動制
RBFで資金調達するメリット
■担保や個人保証が不要
■株式が希薄化しない
■成長途中のスタートアップ企業でも資金調達しやすい
■スピーディーに資金を確保できる
RBFで資金調達する際のデメリット
■利益の一部を失う
■キャッシュフローの悪化が懸念される
RBFとほかの資金調達方法との違い
■エクイティファイナンスとの違い
■融資との違い
■ファクタリングとの違い
RBFでの資金調達に向いている企業とは
RBFサービスの代表例
■Yoii Fuel
■Flex Capital
資金調達方法の1つとしてRBFを適切に活用しよう
RBFとは
RBF(レベニュー・ベースド・ファイナンス)は将来発生する売上の一部を現金化する資金調達方法であり、日本語では「収益還元型金融」を意味します。RBFにより資金を調達した企業は、毎月の売上から一定の割合を返済する仕組みです。
1990年代初頭からテック企業を中心に徐々に活用され始めましたが、幅広い業界で活用されるようになったのは、2014年以降です。
RBFは、シード・アーリー期のスタートアップ企業と相性がいいとされています。起業後間もない企業は、実績などの面から金融機関の融資を受けることが容易ではありません。しかし、RBFは基本的に将来性の売上が評価基準となるため、成長中のスタートアップ企業も活用できる可能性が高く、新たな資金調達方法として注目が高まっています。
スタートアップ企業の事業フェーズについては、次の記事でも解説しています。シード期・アーリー期・ミドル期・レイター期それぞれの特徴を把握できますので、ぜひあわせてご覧ください。
関連記事:
【事業フェーズ別】スタートアップの事業計画の作成ポイント|事業計画書で重要な要素とは
RBFの種類
RBFには、大きく「定額制」と「変動制」の二種類あります。最終的に支払う総額に変わりはありませんが、その返済方法が異なります。
■定額制
定額制のRBFは、毎月定められた金額を返済する方式です。返済期間は、通常1年以内に設定されます。毎月の返済額が決まっているため、返済計画を立てやすいといえるでしょう。
しかし、月によって売上額と返済額が乖離することがあるため、資金繰りには注意が必要です。売上の増減に関わらず一定の返済額を支払わなければなりません。
企業が成長すれば、売上に対する返済負担が相対的に軽くなるのも利点の1つです。
■変動制
変動制のRBFは、売上に連動した金額を毎月返済する方式です。事業の収益性に応じて返済額を調整できるため、好調時には多く返済し、不調時には負担を軽減することが可能です。そのため、業績が上がるほど返済が早く終わる可能性が高く、業績が伸びなければ返済期間が長くなります。
返済期間が固定されていないため、事業の成長や収益性に合わせて柔軟に返済スケジュールを調整できる点はメリットといえるでしょう。しかし、収益が低い場合、支出をカバーするために追加の資金調達が必要になることもあるなど、事業の安定性や成長性に影響を与える可能性もあります。
RBFで資金調達するメリット
さまざまな資金調達方法があるなか、RBFを選択するメリットを見ていきましょう。
■担保や個人保証が不要
RBFは、担保や個人保証が必要ありません。通常、融資を受ける際には金融機関から担保や事業者の個人資産による保証を求められます。しかし、成長途中のスタートアップ企業では、十分な担保や個人保証を準備できないことも少なくないでしょう。
RBFは一般的な融資と異なり、将来の売上から返済をする仕組みのため、担保や保証を必要としません。そのため、融資のようなほかの資金調達が難しい状況でも活用できる可能性があります。
■株式が希薄化しない
株式が希薄化しないこともメリットといえます。株式の希薄化とは、企業の発行済み株式が増えることに伴い、一株あたりの価値が下がる現象です。これにより、一株あたりの利益や持株比率が減少し、株主の反発を招くことがあります。
また、創業者の持株比率が減ると、経営に関する意思決定がスムーズに進まなくなる可能性もあります。しかし、RBFは株式の譲渡を伴わないため、株式の希薄化を防ぎつつ資金調達が可能です。
■成長途中のスタートアップ企業でも資金調達しやすい
RBFは過去や直近の売上よりも、将来の売上を重視する傾向にあります。そのため業歴が浅い企業や、事業成長のために計画的に赤字となっている企業でも活用しやすい資金調達方法です。
例えば、事業拡大を目指して投資を強化しているために、直近で利益が出ていないスタートアップ企業でも、RBFなら必要な資金を調達できる可能性があります。
計画的に事業成長を図っている、成長途中のスタートアップ企業にとって有効な方法といえるでしょう。
■スピーディーに資金を確保できる
一般的な融資では、申し込みから審査を経て資金を確保できるまでに、数週間から数カ月かかることがあります。特に、スタートアップ企業の場合は個人保証を求められたり、審査に時間がかかりやすかったりする傾向にあります。株式発行での資金調達も募集要項の決定や株主への通知などのさまざまな手続きがあるため、すぐに資金を得ることは難しいでしょう。
一方で、RBFならサービスにもよりますが、早ければ申し込み後一日から数日程度で資金を手にできます。迅速に資金調達ができるため、ビジネスチャンスを逃さず投資に注力することが可能となります。
RBFで資金調達する際のデメリット
次に、RBFで資金調達する際に知っておきたいデメリットを解説します。
■利益の一部を失う
前述したとおり、RBFにより調達した資金は、毎月の売上高から一定の割合を返済する必要があります。つまり将来的な利益の一部を失うことと同じであり、RBFの返済分に回した分、本来よりも手元に残る金額が少なくなります。
例えば、月々の売上の5%を返済に充てる場合、その分の資金は事業運営や投資には使えません。特に、成長期の企業では返済分の収益の減少が負担になることもあるでしょう。
■キャッシュフローの悪化が懸念される
RBFは、ほかの資金調達方法に比べて手数料が高いことが多い傾向にあります。また、資金調達額は企業の売上に基づいて決まるため、売上が低いと判断されると、想定していた金額を調達できない可能性があります。さらに、将来の収益予測が不正確だと返済が困難になることも懸念されます。
仮に、スタートアップ企業がRBFを活用して資金調達した場合、売上が予想よりも低迷すると、返済が滞り、キャッシュフローの悪化につながることがあります。事業運営に必要な資金が不足してしまえば、追加の資金調達が必要になることも考えられるでしょう。
このようにRBFは迅速な資金調達が可能ですが、手数料の高さや売上の変動によるキャッシュフロー悪化のリスクがあります。将来の収益予測を正確に行い、RBFに頼りすぎないよう慎重に活用することが重要といえます。
RBFとほかの資金調達方法との違い
スタートアップ企業の資金調達方法には、RBF以外にもさまざまな選択肢があります。なかでも、代表的な資金調達方法である融資・ファクタリング・エクイティファイナンスとRBFの違いをご紹介します。
資金調達方法によって、資金提供の仕組みや事業への影響に違いがあるため、自社の状況を踏まえて適切な方法を選択していきましょう。
■エクイティファイナンスとの違い
エクイティファイナンスは、株式発行などによりエクイティ(株主資本)を増やす資金調達方法です。事業拡大や新規プロジェクトへの投資に活用されるケースが多い傾向にあります。
エクイティファイナンスでは、投資家が株式を取得して事業に出資し、企業は成長や成功に応じてリターンを提供します。この方法は大規模な資金調達が可能ですが、投資家との交渉や株式発行の手続きが必要なため、資金調達に時間がかかるケースもあります。
また、投資家が株式を取得するため、出資者が事業の成長や方向性に対し関与する場合もあります。さらに、株式の希薄化により、既存の株主の持株比率が下がり、経営の柔軟性が損なわれる可能性もあるでしょう。
RBFは、資金提供者が事業の収益性にリスクを負う形態であり、出資者が経営に参画することはありません。
ベンチャーキャピタルとの違い
ベンチャーキャピタル(VC)は、エクイティファイナンスを通じて企業に資金を提供する投資ファンドの一種です。企業の成長段階やニーズによっては、VCからの出資とRBFを組み合わせて活用する資金調達戦略が適切な場合もあります。例えば、RBFで運営資金を確保し、VCで成長資金を調達するなどです。そのため、RBFの活用を検討する際に、あわせて選択肢として考慮したい方法といえます。
VCは、新興企業や成長段階の企業に対して資金を提供し、その対価として株式を取得します。その結果、株式の希薄化や出資者が事業に直接関与する可能性があります。
VCは、株式を通じて企業に影響を与える一方、RBFは返済期間や金利などの条件が柔軟で、売上高に応じて返済が調整されます。両者を組み合わせることで、企業の資金調達ニーズを効果的に満たすことができるでしょう。
■融資との違い
融資は、金融機関や公庫から借入をすることで資金調達をする方法です。運転資金や設備投資、事業拡大への投資などさまざまな用途に活用できる、汎用性の高い資金調達方法です。株式の発行は伴わないため、株式の希薄化は起こりません。
融資の審査には時間がかかるケースもあるため、借入を検討している場合は早めに準備を進めた方がよいでしょう。
また、融資は決められた返済スケジュールに基づき、定められた金利を上乗せした金額を返済する必要があります。もし資金繰りの悪化により返済が滞ると、遅延損害金の支払い請求が行われたり、今後の融資に影響したりする可能性があるため、計画的に活用することが大切です。
RBFは事業の収益性に応じて返済が調整されるため、事業のリスクを分散できます。
■ファクタリングとの違い
ファクタリングは、売掛金や債権を売却することで資金を調達する方法です。突発的な資金不足や運転資金の確保など、レスキューファイナンスとしても活用できます。売掛金を現金化する方法のため、株式の希薄化は発生しません。
売掛金の一部を手数料としてファクタリング会社に支払うため、調達できる資金は、本来手にできる金額よりも少なくなります。売掛債権の金額によって調達額が限定されてしまう、売掛債権がないと活用できないなどの面もあります。
サービスによっては一日ほどで現金化できるものもあり、即座に資金が必要なケースで有用な方法といえるでしょう。
関連記事:
ファクタリングとは?メリットやデメリット、資金繰りで注意したい点も紹介
RBFでの資金調達に向いている企業とは
RBFは、将来の売上が重視されるため、売上予測が立ちやすいビジネスモデルの企業に適しているといえます。例えば、次のような企業です。
【SaaS企業】
SaaS(※1)は、インターネットを経由してソフトウェアを提供するサービスです。ビジネスチャット、Web会議システム、グループウェア、会計ソフトのような商材が挙げられます。
SaaSは一度契約が成立すると、解約されない限り継続して収益を得られます。将来の売上を予測しやすいビジネスモデルのため、RBFの活用が向いているといえるでしょう。
※1 クラウドサーバーにあるソフトウェアを、インターネットを経由してユーザーが利用できるサービスのこと。
【D2C企業】
D2C(Direct to Consumer)は、仲介業者を挟まずに自社製品やサービスを直接消費者に販売するビジネスモデルです。D2Cは消費者との直接の接点があるため、データ収集がしやすくマーケティング戦略やキャンペーンの実施も効果的に行えます。
このような特徴から将来の売上予測が立てやすく、RBFに適した事業ともいえるでしょう。例えば、EC事業者がRBFを活用することで、必要なタイミングでの仕入れや広告投資が可能になり、キャッシュフローを悪化させずに成長を加速できます。
RBFサービスの代表例
RBFによる資金調達機能を提供しているサービス例をご紹介します。
■Yoii Fuel
Yoii Fuelは、過去の売上データから未来の売上を予測し、資金提供を行うプラットフォームです。手続きにかかる時間は約30〜60分ほどで、全てオンラインで完結できる手軽さが特徴の1つです。
利用可能な企業の条件は次のとおりです。
- 事業実績が6カ月以上
- ランウェイが4カ月以上
- 法人であること
最短4営業日で資金調達が可能なため、迅速に資金調達を行いたいケースにも活用できます。
※参考:Yoii Fuel
■Flex Capital
Flex Capitalは、過去の売上データから未来の売上を予測し資金を提供するプラットフォームです。RBFだけでなくベンチャーデットのサービスも展開しています。
RBFでは、無担保・無保証で最大5,000万円の資金調達が可能です。しかし、法人であることが利用条件のため、個人事業主やフリーランスの方は活用することができません。
ランウェイが残り3カ月程度の企業や、先行投資により赤字決算にある企業への支援実績もあります。創業間もないタイミングや、先行投資を重ねているスタートアップ企業も活用できる点が魅力といえます。
※参考:Flex Capital
資金調達方法の1つとしてRBFを適切に活用しよう
RBFは、将来の売上の一部を現金化する資金調達方法です。返済方法には定額制と変動制の二種類があり、担保や個人保証が不要で株式が希薄化しないなどのメリットがあります。成長途中のスタートアップ企業でも活用しやすい方法ですが、利益の一部を失うことやキャッシュフローの悪化が懸念されるデメリットもあります。
事業者向けの資金調達方法は多岐に渡り、第三のファイナンスの選択肢も増えつつあります。例えば、弊社の広告費の4分割・後払いサービス「AD YELL(アドエール)」(※2)は、キャッシュフローの圧迫をおさえた広告・仕入れへの投資を可能にします。最短3営業日で資金サポートを開始でき、迅速に活用いただける手段です。
また「請求書カード払い」では、請求書の支払いをクレジットカードで行えるため、キャッシュアウトを遅らせることが可能となります。キャッシュフローを改善しながら投資を加速させたい事業者さまは、ぜひ弊社にご相談ください。
自社の状況や成長戦略に合った資金調達方法を選択することで、事業の健全な成長につなげていきましょう。
※2 「AD YELL」は、バンカブルが提供しているWeb広告の出稿費用を4回に分割・後払いが可能となるサービスです。請求書払いと法人カード払いに対応しており、オンラインによるお申し込みから最短3営業日でご利用が可能になります。原則として、担保や連帯保証人のご用意が不要(*)で、融資ではなく立替でサポートするため、今後の事業者さまの借入枠にも影響を及ぼしません。これらのサービスを通じて、事業者さまのキャッシュサイクルを改善し、運転資金を圧迫しない形で事業成長を支援いたします。
*「担保・連帯保証不要」は原則であり、場合によってはその限りではありません。ご了承くださいませ。

ADYELLを活用して、
さらなる事業成長へ