スタートアップ企業に必須のランウェイとバーンレートの理解|理想の期間や延長方法を解説

2024.10.24

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スタートアップ企業に必須のランウェイとバーンレートの理解|理想の期間や延長方法を解説

スタートアップ企業にとって、資金繰りは常に大きな課題です。手元にある資金がどれだけあるのか、不安を感じながら経営を進めている方も少なくないでしょう。そんなときに重要な指標となるのが、「ランウェイ」です。

ランウェイを正確に把握することで、今後の経営戦略や資金計画を立てる際に大いに役立ちます。本記事では、ランウェイの概念とその計算に欠かせない「バーンレート」について、わかりやすく解説します。後半では、スタートアップ企業におけるランウェイを伸ばす方法や資金調達方法についても解説します。どうぞ最後までご一読ください。

 

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目次

スタートアップ企業における「ランウェイ」とは
■ランウェイの計算方法
理想的なランウェイの期間
■1年周期の企業では12~18カ月が目安
■企業生存のボーダーラインは半年~12カ月が目安
ランウェイがスタートアップ企業に欠かせない理由
ランウェイと関係が深い2種類の「バーンレート」
■ネットバーンレート
■グロスバーンレート
ランウェイを把握するメリット
■経営戦略や資金計画の見直しができる
■投資家との交渉がしやすい
ランウェイを伸ばす2つの方法
■固定費を削減する
■売上向上や資金調達により使える資産を増やす
スタートアップ企業における資金調達方法
■ベンチャーキャピタルからの融資
■エンジェル投資家による出資
■補助金や助成金の活用
■クラウドファンディングへの登録
■ファクタリングの活用
■金融機関からの融資
「AD YELL」や「Vankable 請求書カード払い」なら広告費の後払いが可能
スタートアップ企業は適切な長さのランウェイ維持が重要

 

 

スタートアップ企業における「ランウェイ」とは

「ランウェイ」という用語は、企業の資産(キャッシュ)が尽きるまでの期間

スタートアップ企業やベンチャー企業で使用される「ランウェイ」という用語は、企業の資産(キャッシュ)が尽きるまでの期間を指します。通常、ランウェイとはファッションショーでモデルが歩く道や飛行機が離着陸する滑走路を意味し、どちらも終わりが設定されているのが特徴の1つです。

ビジネスにおけるランウェイも同様に、企業の運転資金が尽きるまでの「時間の制限」を示し、企業が生存できる猶予期間とされています。

■ランウェイの計算方法

ランウェイは、会社の現金残高を毎月のキャッシュフローの負の数値で割ることで算出します。

例えば、会社の資金が1,000万円で、毎月100万円のペースで資金が減っていく場合、1,000万円÷100万円で、ランウェイは10カ月となります。つまり、10カ月以内に事業計画を見直し、資金調達を行う必要があることが分かるでしょう。この期間内に適切な措置を講じなければ、企業は資金枯渇により倒産のリスクに直面する可能性があります。

 

理想的なランウェイの期間

理想的なランウェイの長さは12カ月が基本

ランウェイには目安となる期間があります。理想的な期間のほか、期間が長すぎる・短すぎるリスクを解説していきます。

■1年周期の企業では12~18カ月が目安

スタートアップ企業の理想的なランウェイの長さは、企業の状況や事業内容、ビジネスモデル、事業フェーズに依存しますが、一般的には12カ月が基本で、余裕をもたせる場合は最長18カ月が目安です。これは、多くの企業が1年周期で事業計画を策定しているため、資金計画も同様に1年ごとに見直されることが一般的であるからです。

資金調達に時間がかかる場合や、計画に余裕を持たせるために18カ月のランウェイを設定する企業もあります。スタートアップ企業特有の資金的な制約を考慮すると、最低でも12カ月のランウェイを持つことが推奨されます。より安定した企業では18カ月を目安に設定するといいでしょう。

周期やビジネス内容によって理想的な期間は異なる

12~18カ月のランウェイ設定は、通常1年サイクルのビジネスモデルを前提としています。3年サイクルで運営する事業の場合、ランウェイもそれに応じて36カ月に設定することがあります。

ビジネスの周期や内容によって、理想的なランウェイの長さは大きく変動するため、自社の具体的な状況に合わせて柔軟に計画を立てましょう。

■企業生存のボーダーラインは半年~12カ月が目安

1年周期で運営される企業では、ランウェイが12カ月を切ると資金調達の準備を始める必要があります。さらに、半年を切ると資金調達が難しくなり、企業の存続自体が危うくなりかねません。

予防策としては、常にランウェイを12カ月以上保ち、適時に戦略的な資金計画を立てることが求められます。

ランウェイが長すぎる場合に想定されるリスク

一見、ランウェイが長いことは安心材料に思えますが、実は長すぎるランウェイにもリスクが伴います。ランウェイを不必要に長く設定すると、過剰な資金調達を行うことになりがちです。

ランウェイが長すぎると、株式を発行して資金を集める場合、1株あたりの価値が低下することがあります。また、投資家の保有株数が増えることで、経営の自由度も減少する可能性があります。ランウェイの長さは、安全性と効率のバランスを考慮する必要があるため、慎重に計画を立てましょう。

ランウェイが短すぎる場合に想定されるリスク

ランウェイが短すぎると、自社の存続期間だけでなく、ほかの重要な側面にもリスクが生じます。例えば、ランウェイが3カ月しかない場合、投資家からの追加の資金提供や取引先からの速やかな支払いを期待することが難しくなり、交渉力が大幅に低下することが考えられるでしょう。

さらに、ランウェイが短いと、長期的な戦略を立てる余裕がなくなり、結果として短期的な対応に追われることになります。また、将来的に大きな利益を見込める選択肢を見送らざるを得ない状況を招くこともあります。

資金調達や経営戦略の見直し、コスト削減といった多岐に渡る対策が求められるため、経営者の精神的プレッシャーが増してしまうことがあるかもしれません。これらの要因が合わさることで、企業が倒産へと追い込まれるリスクが高まります。

 

ランウェイがスタートアップ企業に欠かせない理由

ランウェイは投資家が投資判断を下す際の重要な基準となる

スタートアップ企業の場合、初期段階では経営が安定しないことが多く、コストが売上を上回りがちです。このため、ランウェイを設定して資金状況を常に把握することが欠かせません。

また、ランウェイは投資家が投資判断を下す際の重要な基準となります。投資家はランウェイを通じて、企業の将来性やリスクを評価し、安心して資金を提供できるかどうかを決定します。

スタートアップ企業の生存率にも関係するため、適切な長さのランウェイを維持することは、投資家にとっても企業にとっても重要といえます。適切な長さのランウェイがあれば、投資家は安心感を持つため、資金調達の可能性も高くなるでしょう。

 

ランウェイと関係が深い2種類の「バーンレート」

ランウェイを理解するうえで重要なのが、「バーンレート」という資金燃焼率

ランウェイを理解するうえで重要なのが、「バーンレート」という資金燃焼率です。バーンレートは、月あたりにどれだけの資金を消費しているかを表し、「ネットバーンレート」と「グロスバーンレート」の2種類が存在します。それぞれを解説していきます。

■ネットバーンレート

ネットバーンレート(Net Burn Rate)はスタートアップ企業にとって重要な財務指標で、1カ月の実質コストを示します。「Net」とは純資産のことで、計算式は「かかった総コスト÷期間(月数)-1カ月あたりの売上」です。

例えば、半年で6,000万円のコストがかかり、毎月800万円の売上がある場合、ネットバーンレートは「6,000万円÷6カ月 – 800万円 = 200万円」となります。ネットバーンレートを算出することで、自社が毎月どのくらいの資金を消費しているかが分かります。

ネットバーンレートの活用方法

ネットバーンレートは、スタートアップ企業が資金が尽きるまでの期間を正確に予測するのに役立ちます。例えば、現在の資金が1億円で、バーンレートが500万円の場合、約20カ月後に資金が尽きる計算になります。これは次回の資金調達のタイミングを決定する際の参考になるでしょう。

また、収入と支出のバランスを確認できるため、健全なキャッシュフローを維持しやすくなります。

■グロスバーンレート

グロスバーンレート(Gross Burn Rate)は、特定期間内に発生した累計消費コストを指します。「かかった総コスト÷期間(月数)」で計算でき、例えば、半年間で6,000万円のコストが発生した場合、グロスバーンレートは月額1,000万円になります。

グロスバーンレートは、収入の変動を考慮せずに純粋なコストのみを反映するため、自社の財務状況を把握するのに役立ちます。

グロスバーンレートの役立つ使い方

グロスバーンレートは、収入の変動に関係なくコストを確認できるため、次の場面で活用できます。

総コストを確認したい場合

グロスバーンレートを用いて総コストを確認することで、支出が計画に沿っているか評価できます。予算管理を効率的に行え、長期的な経営戦略を立てやすくなるでしょう。

資金調達の遅れや予期せぬ支出などに対するリスク評価をしたい場合
不測の事態が発生した際にグロスバーンレートを基にして、自社がどれだけの期間、財政的に持続可能かを評価できます。そのため、資金調達のタイミングや緊急時の対応計画を立てることが可能になります。

予算の決定や管理をする場合

事前にコストを把握しておくことで、必要な予算の設定が正確に行え、予算超過のリスクをおさえられます。

ネットバーンレートの変動要因を判断したい場合

ネットバーンレートの変動がコストによるものかどうかを判断するために、グロスバーンレートを参照します。例えば外部要因によって売り上げが減少したとき、ネットバーンレートの数値は変動しますが、グロスバーンレートは変わりません。

 

ランウェイを把握するメリット

ランウェイを把握するメリットは経営戦略や資金計画の見直しができる

ランウェイとバーンレートの特徴について確認できたところで、ここからはあらためてランウェイを把握するメリットを解説していきます。

■経営戦略や資金計画の見直しができる

12カ月から18カ月のランウェイがあれば、企業は長期的な経営戦略を立てやすくなり、必要に応じて早期に立て直しを図れます。資金計画に余裕を持っていれば、投資家やベンチャーキャピタルからの資金調達、受託案件を増やすことなどをして、資金確保をしやすくなるでしょう。

■投資家との交渉がしやすい

ランウェイとバーンレートの現状を明確にすることで、投資家は企業の将来性や資金ショートのリスクを正確に把握できます。適切なランウェイを維持している企業は、その将来性から投資家の信頼を得やすく、資金調達がスムーズに進む傾向にあります。

また、ランウェイが適切な長さであれば、交渉時に不利な条件を受け入れる必要がなくなり、経営の安定を保ちやすくなります。ランウェイの管理はスタートアップ企業の持続可能性を高めることにもつながるでしょう。

 

ランウェイを伸ばす2つの方法

ランウェイを伸ばす方法は固定費の削減や使える資産を増やすこと

スタートアップ企業が生存率を上げるには、期限までに事業を軌道にのせるだけでなく、ランウェイを伸ばす施策も重要となります。ランウェイを伸ばす方法は2つあり、それぞれを詳しく解説していきます。

■固定費を削減する

スタートアップ企業が直面する課題の1つに資金管理があります。特に、固定費は削減の対象として影響力が大きい部分です。例えば、家賃や役員報酬など、コストのなかで大きな割合を占める部分を見直すことが重要となります。

家賃においては、立地条件のいい都心部から郊外や地方にオフィスを移転する、あるいはバーチャルオフィスを採用してフルリモート勤務を導入するなどの方法であれば、コスト削減と従業員の働き方の多様性の両立を図れます。

役員報酬の面では、社長や役員の給与は一般社員に比べて高額な傾向にあり、年度を通じて一定です。この部分を見直すだけでも固定費を大きく削減できるでしょう。ただし、役員報酬の変更には株主総会の承認が必要となります。

固定費のなかでも大きな部分を調整することで、ランウェイを伸ばせるようになります。

■売上向上や資金調達により使える資産を増やす

スタートアップ企業がランウェイを伸ばすためには、コストを削減する以外に資産を増やすアプローチもあります。

コスト削減には限界があるため、特に安定した売上が見込めないスタートアップ企業にとっては、資金調達がより重要となります。ランウェイが半年を切る前に、資金調達を検討することがおすすめです。

積極的な資金調達を通じて使える資産を増やし、徐々に売上を向上させ、自社の持続性を伸ばしていきましょう。

 

スタートアップ企業における資金調達方法

スタートアップ企業における資金調達方法はベンチャーキャピタルからの融資、エンジェル投資家による出資など

ランウェイを伸ばすためには積極的な資金調達が欠かせません。スタートアップ企業が使える資金調達方法を紹介します。

■ベンチャーキャピタルからの融資

ベンチャーキャピタルは、スタートアップ企業やベンチャー企業に出資し、株式を受け取る投資会社です。自己資金に加えてファンドで募った資金を投資し、自身の広範なネットワークを活用して企業の成長を支援します。将来的なIPOやM&Aを通じた大きなリターンを目的とする傾向にあります。

ただし、ベンチャーキャピタルからの資金は出資であり、返済義務はありませんが、結果を出すことを求められます。

■エンジェル投資家による出資

エンジェル投資家は個人投資家であり、主にスタートアップ企業の将来性に投資します。エンジェル投資家は将来のユニコーン企業候補に投資することで、IPO時の差益だけでなく、投資家としての信用を得ることなどを期待しています。

エンジェル投資家へのアクセスは限られていますが、セミナーやマッチングサイトを通じて関係を築くことができるでしょう。エンジェル投資家からの出資を募ることで、スタートアップ企業は貴重な初期段階の資金を確保でき、成長の基盤を固められます。

■補助金や助成金の活用

国や地方自治体から提供される補助金や助成金を活用する方法もあります。補助金は金額が大きいものの、申請条件が厳しく設定されている傾向にあります。例えば「ものづくり補助金」は具体的なプロジェクトを対象とした制度です。

助成金は従業員の労働環境改善をはじめ、より柔軟な用途に対応しています。補助金や助成金を効果的に活用するには、常に最新の情報を得て条件に合致するかを確認しましょう。

■クラウドファンディングへの登録

クラウドファンディングは、インターネットを活用して広く出資者から資金を募る方法です。投資家だけでなく一般の人々もプロジェクトを支援でき、多くの場合、小規模ながら多数の出資を集められます。

しかし、出資者が期待するほどの興味を引くプロジェクトでなければ資金を集めることが難しくなるでしょう。スタートアップ企業が成功するためには、革新的な商品やビジネスモデルを明確に提示し、出資者の関心を集めることが必要になります。

■ファクタリングの活用

ファクタリングは、売掛金などの売上債権をファクタリング会社に買い取ってもらい、資金調達を行う方法です。買取型と保証型の2種類があります。

買取型ファクタリングでは、手数料を支払う代わりに売掛金を即座に現金化できるため、一時的な資金繰りに役立ちます。また、融資とは異なり金利がかからず、信用情報に影響を与えることもないため、スタートアップ企業にとって活用しやすい方法です。

■金融機関からの融資

金融機関からの融資は一般的な資金調達方法で、地方銀行や信用金庫から資金を借りる形ですが、金利が伴います。スタートアップ企業は実績が少ないため融資の審査が厳しく、融資額がおさえられることが一般的です。

ただし、全国信用保証協会連合会の保証付融資や日本政策金融公庫の新規開業資金、地方公共団体の制度融資など、スタートアップ企業向けの支援策も存在します。こうした支援策を活用するためには、実現可能な事業計画と具体的な返済計画の提出が求められます。

 

「AD YELL」や「Vankable 請求書カード払い」なら広告費の後払いが可能

ランウェイの延長は「AD YELL」や「Vankable 請求書カード払い」など

スタートアップ企業にとって、ランウェイの延長は重要な課題です。この点で、弊社が展開する「AD YELL」や「Vankable 請求書カード払い」は、資金調達の新たな選択肢となります。

「AD YELL(アドエール)」(※1)では広告費4分割・後払いを、「Vankable 請求書カード払い」は広告費を含む多様な請求書による支払いをクレジットカードによって後払いにするサービスです。これらのサービスを活用することで、広告費など売上よりも先行して支払う費用の負担を減らし、資金の流動性を高められます。

特に、スタートアップ企業にとって大きな出費となり得る広告費などを効果的に管理することは、バーンレートをおさえ、事業の持続可能性を高めるうえで欠かせません。通常、金融機関の融資やベンチャーキャピタルからの資金調達には厳しい条件や一定のリスクが伴いますが、これらのサービスはスタートアップ企業でも容易に活用できます。

 

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※1「AD YELL」は、バンカブルが提供しているWeb広告の出稿費用を4回に分割・後払いが可能となるサービスです。請求書払いと法人カード払いに対応しており、オンラインによるお申し込みから最短3営業日でご利用が可能になります。原則として、担保や連帯保証人のご用意が不要(*)で、融資ではなく立替でサポートするため、今後の事業者さまの借入枠にも影響を及ぼしません。これらのサービスを通じて、事業者さまのキャッシュサイクルを改善し、運転資金を圧迫しない形で事業成長を支援いたします。
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スタートアップ企業は適切な長さのランウェイ維持が重要

スタートアップ企業は適切な長さのランウェイ維持が重要

ランウェイは、スタートアップが財務的に存続できる期間で、12~18カ月を健全な目安とします。この期間内に安定した経営を目指せれば、投資家との交渉もスムーズに進められるでしょう。ランウェイの管理には、消費される資金の速度を示すバーンレートの把握が重要となります。グロスバーンレートとネットバーンレートを活用すると、資金流出の状況を明確にでき、必要に応じて対策を講じられます。

ランウェイを延長する方法として、コスト削減と資金調達があります。コスト削減は短期的な効果がありますが、長期的な経営の安定には資金調達が欠かせません。特に、弊社の「AD YELL」や「Vankable 請求書カード払い」を活用することで、広告費をはじめとする先行投資の分割払いや後払いが可能となり、キャッシュフローを改善できます。

融資や補助金、分割払いサービスなどに組み合わせることで、スタートアップ企業は安定した成長を築けるようになるでしょう。適切な資金管理と戦略的な資金調達が成功の鍵です。

 

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