プロダクトライフサイクルを分かりやすく解説!自社のマーケティング戦略に役立てよう

2024.07.11

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プロダクトライフサイクルを分かりやすく解説!自社のマーケティング戦略に役立てよう

プロダクトライフサイクルとは、商品やサービスが市場に導入されてから撤退するまでの一連の過程を指すマーケティング理論です。プロダクトライフサイクルを活用すると、商品の市場における位置付けを理解でき、効果的なマーケティング戦略を実施できます。

本記事では、プロダクトライフサイクルの基本概念と重要性を明確に説明し、各段階での戦略の立て方や注意点などを具体的に解説します。具体的な事例を交えながら、プロダクトの成熟期におけるマーケティング戦略の変更や、衰退期に入った際の対策についても触れていきます。

 

目次

プロダクトライフサイクルとは
プロダクトライフサイクルの4つのフェーズ
■ニーズを創出する「導入期」
■認知されだす「成長期」
■成長スピードが緩まる「成熟期」
■新たな施策が必要とされる「衰退期」
プロダクトライフサイクルを活用するメリット
■商品展開方法を絞り込める
■利益の拡大やコストの削減を目指せる
プロダクトライフサイクルを活用する注意点
■現状の把握が難しい
■商品によってはプロダクトライフサイクルが使えない
【フェーズ別】プロダクトライフサイクルの戦略例
■導入期向けの戦略
■成長期向けの戦略
■成熟期向けの戦略
■衰退期向けの戦略
プロダクトライフサイクル以外のマーケティング理論
■イノベーター理論
■4P理論
プロダクトライフサイクルを活用して戦略的マーケティングを

 

プロダクトライフサイクルとは

プロダクトライフサイクルは、商品の市場での経過を表す重要な概念

プロダクトライフサイクルとは、商品が市場に登場してから衰退するまでの一連の過程を指す、マーケティングにおける重要な理論です。1950年にアメリカの経済学者ジョエル・ディーンによって提唱され、商品やサービスの売り時、撤退のタイミングを見極める際に役立ちます。Product Life Cycleの頭文字をとって「PLC」と表記されることもあります。

プロダクトライフサイクルによると、商品のライフサイクルは、導入期、成長期、成熟期、衰退期の4つの段階に分かれ、各段階では市場戦略や販売促進の方法が異なります。。この概念を活用することで、企業は商品の市場における位置付けをよく理解し、戦略的な意思決定を行うことができるようになります。

 

プロダクトライフサイクルには、導入期、成長期、成熟期、衰退期の4つのフェーズがある

プロダクトライフサイクルは、商品の市場での経過を表す重要な概念です。ここでは、導入期、成長期、成熟期、衰退期の4つのフェーズに分けて、それぞれの特徴と対応策を詳しく解説します。

■ニーズを創出する「導入期」

商品が市場に導入された直後は、顧客や業界内での認知度がまだ低く、利益を出すのは困難です。導入期は、利益が出てもごくわずかであり、赤字にならなければ成功していると見なされます。

この期間の主な目的は、利益の追求よりも、商品の存在を広く知らせ、市場での足場を固めることにあります。そのため、商品の認知度を高めるためのプロモーション活動が必要とされるフェーズです。

導入期でのマーケティングの取り組みは、長期的な売上げを見据えた投資として考えましょう。まずは市場での立ち位置を確立することが重要となります。

■認知されだす「成長期」

成長期は、商品が市場で注目を集め始め、売上げが急速に伸びる時期です。この段階では、市場への参入者が増え、競合が増加します。そのため、独自性など競合優位性を打ち出し、顧客の心を掴むことが求められます。一方で、差異化を図れない企業は撤退を余儀なくされることも少なくありません。

成長期は市場でのポジションを確立し、自社商品を競合から差異化するための重要な時期です。顧客のニーズに応える商品を提供し、支持を得られるよう取り組みましょう。

■成長スピードが緩まる「成熟期」

成熟期に入ると、商品の販売量はピークに達し、以降は安定期を迎えるか、やや下降線をたどり始めます。また、市場の大部分のシェアは数社によって独占され、新しい競争者が参入しにくい状況が生まれます。このとき、必要になるのは既存の商品の改善や、差異化を図るマーケティング戦略などです。

具体的には、企業間での価格競争が激しくなり、商品の機能追加やサービスの質向上などで顧客のロイヤルティを保つ努力が求められます。最終的に成熟期を乗り越えるには、新しいアイデアや顧客ニーズに応じた適切な商品のポジショニングが重要になります。

■新たな施策が必要とされる「衰退期」

商品が衰退期に入ると、代替品などが出現し売上が低下しやすくなり、企業は新しい戦略を模索する必要に迫られます。この時期は、効果的なコスト管理と効率化が特に重要となり、市場での立ち位置を再考する機会でもあります。

特に、資金に制約のある企業は、従来の商品だけに依存するのではなく、代替品の開発や新規事業への転換を検討することも方法の1つです。衰退期を乗り越えるのは難しさもありますが、企業が変化に適応し、新たな方向性を見出すための重要な時期でもあります。

 

プロダクトライフサイクルを活用するメリット

プロダクトライフサイクルを活用するメリットは、商品展開方法を絞り込め、コストの削減を目指せること

なぜ、プロダクトライフサイクルはマーケティングの分野で活用されているのでしょうか。プロダクトライフサイクルを活用するメリットについて解説していきます。

■商品展開方法を絞り込める

プロダクトライフサイクルの各段階によって、商品を市場に展開する方法が変わってきます。商品がどの段階にあるのかを認識することで、これから取るべきより未来への戦略を見極められ、マーケティングの方向性を誤るリスクを減らし、効果的に資源を使用することが可能になるでしょう。

例えば、市場に新しく導入された商品には、認知を広げるための戦略が求められる一方で、すでに成熟した市場では顧客ロイヤルティを高めることが重要になります。

■利益の拡大やコストの削減を目指せる

プロダクトライフサイクルの各段階に応じ、一定定石の戦略を効率よく展開することで、売り上げのチャンスを逃さず、かつ無駄なコストをおさえられます。導入期や成長期においては、効率よく売上を伸ばせるような手法をとることが必要となり、商品が衰退期に入っていることが分かっている場合は、必要以上の広告費やプロモーションコストを削減し、経費の過剰な支出を避けられます。

 

プロダクトライフサイクルを活用する注意点

プロダクトライフサイクルを活用する注意点は現状の把握が難しいこと

プロダクトライフサイクルを活用することで効率よくマーケティング戦略設計~実行できますが、注意点も複数あります。ここでは、具体的な注意点を詳しく解説していきます。

■現状の把握が難しい

プロダクトライフサイクルにおける各フェーズには、明確な基準が存在しません。売上や市場競合の動向から、商品のフェーズをある程度予測できますが、正確な現状の把握は難しい場合があります。市場は多様な要因によって変動するため、商品が導入期なのか、それとも成長期に入っているのかの判断が複雑になります。

また、フェーズを誤って判断するとマーケティング戦略や資源配分を間違うこともあり得るでしょう。例えば、成長期にあると判断した商品が実はまだ導入期にある場合、過度のプロモーション支出につながります。このような誤判断を避けるためにも、定期的に市場分析を行い、外部の専門意見を取り入れることが大切です。

■商品によってはプロダクトライフサイクルが使えない

プロダクトライフサイクルは、多くの商品やサービスの市場動向を分析する際に役立つ理論ですが、全ての商品に適用できるわけではありません。生活必需品や介護サービスなど、長期間にわたって一定のニーズが続く商品の場合、衰退期と捉えることが困難だからです。

プロダクトライフサイクルはあくまでマーケティングの1つのフレームに過ぎません。したがって、商品の種類や市場の特性に応じて、ほかの分析方法も併用することが、より適切なマーケティング戦略を立てるうえで重要といえます。

 

【フェーズ別】プロダクトライフサイクルの戦略例

プロダクトライフサイクルはフェーズによって適した戦略が異なる

プロダクトライフサイクルのフェーズ別の具体的な戦略例を通じて、効果的なマーケティングアプローチについて解説します。

■導入期向けの戦略

項目 詳細
目的 ・市場に新商品を紹介し、初期の顧客基盤を確立する
アプローチ方法 ・より多くの人に商品を使ってもらうため認知度を高める取り組みをする
・試供品提供や広告、展示会への出展などで認知度を高める
指標基準 ・市場での認知度、販売数の成長率、顧客からのフィードバックや評価
よくある事業課題 ・すぐに利益には直結しないため、赤字になりやすい

導入期の戦略では、新商品を市場に紹介し、最初の顧客層を確立することが目的です。この段階で大切なのは、商品の認知度をいかに高めるかです。そのためには、試供品の配布や目を引く広告キャンペーン、展示会でのプレゼンテーションなど、さまざまな方法で商品をアピールする必要があります。

ただし、導入期はすぐに利益につながるとは限らず、初期投資のために赤字になる可能性があります。その場合は、商品の市場への定着を目指し、導入期の戦略として商品を市場に浸透させ、将来的な成長の基盤をつくることに焦点を当てながら、足元の資金確保への対応も必要です。

■成長期向けの戦略

項目 詳細
目的 ・顧客に選ばれるために商品力を強化し、市場シェアを拡大する
アプローチ方法 ・ 商品の品質や価値、使用しやすさを強調する
・差異化のため商品に独自機能をアピールする
・販路を拡大する
・マーケティング活動を強化する
・利益率を高めるため、商品を量産するコスト削減も検討する
指標基準 ・売高の成長率、市場シェア、新規顧客の集客率
よくある事業課題 ・新規参入者が増え競争が激化する
・顧客基盤の拡大に伴い、顧客サポートのニーズが増加する

成長期における戦略の目的は、顧客に選ばれる根拠を確立し、市場シェアを拡大することにあります。この段階では、早くから自社の商品を取り入れている顧客からより幅広い顧客層へと移行する上で、選ばれる理由を明確にしてシェアを拡張していくことが重要だとされています。

そのために販売チャネルの拡大やマーケティング活動の強化、商品の独自機能を前面にだし、より広範な顧客層へアプローチしていくことが必要です。

売上高の成長率、市場シェア、新規顧客の集客率といった指標は、成長の度合いを測るうえで重要な基準となります。さらに、ユニットエコノミクスに基づいて事業計画を定期的に見直すことも効果的でしょう。利益率を向上させるには量産によるコスト削減も1つの方法です。

成長期では市場への新規参入者が増え、競争が激化する可能性があります。価格競争を避けつつも独自の価値を強調するようにしましょう。市場の変化に柔軟に対応し、マーケティング戦略を定期的に見直すことも、成長を持続させるうえで欠かせません。

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■成熟期向けの戦略

項目 詳細
目的 ・市場シェアを維持し、利益の拡大を目指す
アプローチ方法 ・商品の改良や価格戦略の見直し、信頼性のアピールによって継続利用を促す
・競合が展開するものと類似の商品も展開し、シェアの優位を守る
・リブランディングで顧客の拡大を検討する
指標基準 ・市場シェア、利益率、顧客満足度
よくある事業課題 ・市場が飽和状態にし、新規顧客の集客が難しくなる
・顧客のニーズや好みの変化に対応できないとシェアを失う可能性が出てくる

成熟期における戦略の主目的は、市場シェアを維持しつつ、利益の拡大を図ることです。この段階での商品は市場に広く受け入れられている状態で商品の信頼性を担保しながら顧客に継続して使用していただくことが重要になります。

競合とのシェア争いもあるため、競合の動向をより注視しながら、自社の優位性を保つための打ち手を講じる必要性もあります。さらに、リブランディングを通じて新たな顧客層にアプローチすることも視野に入れてみましょう。例えば、井村屋が限定で発売したこしあんバージョンのあずきバーや、日清の大量の謎肉入りカップヌードルなどは、長く愛される商品に新しい魅力を加えた成功例です。

成熟期の課題としては、市場は飽和状態に近づいているため、新規顧客の集客が一層困難になります。また、顧客ニーズの変化に対応できないとシェアを失う可能性もあります。市場シェア、利益率、顧客満足度を指標に、これらの課題に対処するための戦略を練りましょう。

成熟期向けの戦略は、既存の顧客基盤を維持・拡大し、市場での競争力を持続させるために、商品の質の向上、差異化、及び顧客との関係強化に焦点を当てることが重要といえます。

■衰退期向けの戦略

項目 詳細
目的 ・利益を適正化しつつ段階的な撤退も検討する
アプローチ方法 ・サポート体制を維持して、既存顧客の離脱を防止する
・事業を継続する場合は、コスト削減を図りつつ大幅な改良も一考する
指標基準 ・売高、在庫回転率
よくある事業課題 ・顧客の好みの変化や新技術の登場などにより売高が下降する
・市場の縮小に伴い収益性が低下する
・ニーズの減少により、在庫過多になる可能性がある

衰退期に差し掛かった際の戦略は、可能な限り利益の適正化をはかりながら、商品や事業の段階的な撤退を視野に入れることが大切です。

衰退期は市場の変化に伴い、顧客の好みが変わること、新しい技術が現れること、または、代替商品への移行によって売上が落ち込むことも少なくありません。

したがって、衰退期の戦略は、既存の市場と顧客を維持しつつ、同時に将来に向けて計画的に行動することが求められます。利益の拡大とコスト削減を目指して、事業の撤退や転換を慎重に検討することが、変わりゆく市場環境において重要なポイントとなるでしょう。

 

プロダクトライフサイクル以外のマーケティング理論

プロダクトライフサイクル以外の重要なマーケティング理論にイノベーター理論や4P理論がある

プロダクトライフサイクル以外に、マーケティング向けの理論の代表的なものとして、イノベーター理論や4P理論を紹介していきます。

■イノベーター理論

イノベーター理論は、1962年に提唱され、新しい商品やサービスが社会にどのように受け入れられていくかを説明するものです。この理論では、顧客をイノベーター、アーリーアダプター、アーリーマジョリティ、レイトマジョリティ、ラガードの5つのカテゴリーに分けています。そして、各グループの特徴をもとに、どのように商品を市場に普及させていけば費用対効果が高いかを考察します。なお、イノベーターとアーリーアダプターは初期市場、アーリーマジョリティとレイトマジョリティ、ラガードはメインストリーム市場とも称します。

具体的には、イノベーターやアーリーアダプターは新しいもの好きで先進的な点に価値を見出すため、技術の革新性を強調するアプローチが有効です。一方、アーリーマジョリティやレイトマジョリティは、商品の実用性や他人の評価を重視するため、商品の利便性や安全性をアピールすることが重要になります。

初期市場とメインストリーム市場の性質の違いから生じた大きなギャップを「キャズム」と言います。商品やサービスを普及させるためには「キャズム」を乗り越えなくてはならず、各段階の顧客の特性に適した戦略が必要となります。

■4P理論

4P理論は、Product(商品)、Price(価格)、Promotion(プロモーション)、Place(流通)の4つの要素に基づいたフレームワークです。高品質な商品(Product)を適正な価格(Price)で提供し、魅力的なプロモーション(Promotion)を通じて顧客に情報を届け、アクセスしやすい場所(Place)で販売することが、マーケティング活動の成功へとつながります。

4P理論を用いることで、それぞれの観点から製品の機能やデザイン、価格などがニーズに合っているか、プロモーション活動が効果的かなどを分析できます。また、市場のニーズは常に変化しているため、4つの要素は定期的に見直し、調整する必要があります。

 

プロダクトライフサイクルを活用して戦略的マーケティングを

プロダクトライフサイクルを活用して戦略的にマーケティングを行うことが重要

プロダクトライフサイクルは、効率的なマーケティングをするための理論の1つです。

商品が市場でたどる成長から衰退までの過程や構造を理解し、それに基づいた効率的なマーケティング戦略を立案するのに役立ちます。全ての商品にこの理論を適用できるわけではありませんが、この理論を自社マーケティング設計のひとつの手法として活用することで、市場の変化に柔軟に対応し、商品ごとに適切なマーケティング手法を選択できるようになります。

自社のマーケティング戦略を策定する際は、プロダクトライフサイクルを上手く活用して、事業成長を目指していきましょう。

 

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