ライブコマースは「配信すれば成果が出る」魔法の杖にあらず。適切な設計で「売れる」配信を。

2024.06.12

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これまで800本以上のライブコマースを行い、お客さまの事業を支援されてきた株式会社Tailor App。ライブコマース支援のためのサービスを多数提供し、配信を通じた売上額や一回の配信での最大視聴者数実績で、国内ナンバーワンに選ばれた実績をお持ちです。ライブコマース成功の秘訣について、同社代表の松村夏海さんにお話を伺いました。

目次

プロフィール
累計800本のライブコマースを支援した国内随一の企業
ライブ配信中の売上だけを成果としない。ライブコマースの4つの型
ライブコマースで成果を出すための秘訣は、「前」と「後」の施策にあり
インフルエンサーを選ぶ2つのステップ
「ライブコマースは売れる」という文化をつくりたい

 

プロフィール

松村 夏海 / 株式会社Tailor App 代表取締役社長

1997年生まれのZ世代経営者。ベンチャーPR会社を経てライブコマースシステム会社に入社し、ライブコマースのノウハウを学ぶ。同社が2019年にIT一部上場企業に事業譲渡されるタイミングで、2020年に株式会社Tailor Appを設立。著書『売れる「ライブコマース」入門』(フォレスト出版)

 

累計800本のライブコマースを支援した国内随一の企業

――Tailor Appの事業内容を教えてください。

一言でいうならば、「ライブコマースで日本ナンバーワンの企業」です。大きく4つのサービスを提供しており、そのうちの1つ「ライブル」は、ライブコマースの企画から配信までをワンストップでサポートするサービスです。ライブルは、日本マーケティングリサーチ機構の調査で国内ライブコマース実績本数、導入企業数、1ライブ配信最大視聴者実績、ライブ配信を通じた売上金額、サービス数の5冠を達成しました。

※2022年9月期 指定領域における市場調査 調査機関:日本マーケティングリサーチ機構

ライブコマース関連サービスの提供だけではなく、SNSで商品を売るためのDX研修事業も手掛けています。また、私個人としてもライブコマースの書籍を刊行していたり、国内外のカンファレンスに登壇し、ライブコマース市場の拡大に向け積極的に活動しています。

 

ライブ配信中の売上だけを成果としない。ライブコマースの4つの型

――ライブコマースで成果を出すための秘訣について教えてください。

まず、ライブ配信のパターンをご理解いただく必要があります。パターンによっては、何を成果とするのかが変わってきます。

弊社では、ライブ配信のパターンを、以下の4つに分類しています。

  • 体験型:商品の購入ではなく、サンプルやクーポンを配布し、まずは商品を試していただくことを目的とした「種まき」のライブ配信。ブランドが確立する前や、初めてライブコマースを行う企業向き。

目的)商品の認知拡大、テストマーケティング

例)商品の使用体験を、インフルエンサーからリアルな意見として伝えていただくなど。

  • ロイヤリティ型:商品やブランドのファンになっていただくため、ブランドを深く知れる情報を配信するライブ配信。必ずしもインフルエンサーの起用を必要としません。

目的)商品・ブランドのロイヤリティ向上、ブランディング

例)店員が店舗で使えるクーポンを配るライブ配信、商品開発者が新商品への想いを語り、視聴者と意見交換をする配信など。

  • ライブコマース型:配信中に購入していただくことを目指したライブ配信。「ライブコマース」の一般的なイメージに最も近い形式。

目的)商品の販売と新規顧客の集客

例)配信により購買意欲があがったタイミングで、「配信中の特別値下げ」などのキャンペーンを展開し購入につなげるなど。(Amazonブラックフライデーや、楽天スーパーセールなどのECモールのセールのタイミングでも効果的)

  • CRM型:体験型やロイヤリティ型で関係性を築いてきた顧客に対し、顧客にあわせたアプローチをすることで、商品購入まで誘導することを目的としたライブ配信。

目的)接点があるお客さまを購入まで誘導すること

例)サンプルを利用してくださったが、購入を迷っている顧客の悩みごとに答えるライブ配信を行い、既存顧客向けの限定商品の販売やライブ視聴者に対してのクーポン送付につなげる、など。

――ライブコマースの目的に応じて、評価指標や施策がまったく変わりますね。

おっしゃる通りです。

ライブコマースを始める際、「とにかく有名なインフルエンサーに依頼しよう」と考える方もいます。ただ、お伝えした通り、ブランドのファンづくりやブランディングを目的にしているロイヤリティ型の場合、配信者に適しているのは社員や店舗スタッフです。ブランドのフェーズによって、どの型が適しているのかは変わるため、目的を明確にしたうえで、配信内容や配信者の選定を行いましょう。

 

ライブコマースで成果を出すための秘訣は、「前」と「後」の施策にあり

――目的を決めたあと、次に気をつけることは何でしょうか?

ライブ中だけではなく、配信の前後の設計をすることです。この「前」と「後」こそが、ライブコマース成功のうえで最重要といっても過言ではありません。

例えば、ライブ配信「前」には、集客施策の設計や、ライブコマースを視野に入れた商品設計が必要です。

特に集客は重要で、自社アカウントでの視聴者数が見込めない段階ならば、インフルエンサーのアカウントで発信するといった手法が有効です。ライブコマースはテレビショッピングの代替だと思われがちですが、視聴者に能動的に見にきてもらう必要があるという点で大きく性質が異なります。

また、配信のタイミング選びも重要な要素の1つです。自社ブランドが楽天市場やAmazonに出店しているのであれば、楽天スーパーセールやAmazonプライムデーなど、出店モールがセールをするタイミングが売りどきです。そのタイミングでライブコマースを行うことで、さらなる売上の向上につながります。

弊社の支援事例として、セールのタイミングで影響力の高いタレントを起用したライブ配信を行った結果、短期間で売り上げを上げ、モール内のランキングにランクインされた例もあります。モールのランキングに掲載されれば、セール期間中のさらなる売上の増加も見込めます。

この手法は、認知度が低い商品の場合も有効です。実際に、国内で認知度が低く、競合の多かったペット用品を、Amazonプライムデーのタイミングで女性タレントにライブ配信をしていただいたところ、1時間で100件、売上470万円を達成し、Amazonランキングにも載った実績があります。

――ライブ配信の「後」に大切なことは何でしょうか。

ライブコマース中に視聴者から寄せられたコメントから、顧客像やニーズを明らかにし、その情報をもとに広告を制作することです。

多くの企業がライブ配信だけで終わってしまい、配信で得られた情報を活用しないままになっていると感じています。これもライブコマースをテレビショッピングの代替として捉えているから起こることで、非常にもったいないと感じています。

ライブ配信後に、「ほしい」というコメントをくださった方にDMで商品ページを送って、購入サイトに誘導したり、コメントや購入してくれた方から顧客像を明らかにし、その顧客像に届く広告を配信したりすれば、効率よく情報をお届けすることができます。

とある大手食品会社は、配信に寄せられたコメントから、企業が想定していたニーズとは異なるニーズで購入にいたっている方が多いと分かりました。別の美容会社では、新たに顕在化したニーズを踏まえた広告クリエイティブでアプローチした結果、CPAが2分の1以下になったという効果がありました。『配信して、終わり』では生み出せなかった成果です。」

ライブの成果をライブ中の売上だけで判断せず、ライブ配信から得られるお客さまのニーズを、いかに次の施策につなげられるかが、売上を高める秘訣です。

 

インフルエンサーを選ぶ2つのステップ

――インフルエンサーに依頼する場合、依頼先をどのように選べばいいのでしょうか。

まず大切なのは、フォロワー数だけでインフルエンサーを選ばないことです。弊社が携わった例では、フォロワー数の多いインフルエンサーよりも、フォロワー数の少ないインフルエンサーの方が4倍近い視聴者数を集めたことがあります。フォロワー数と視聴者数は必ずしも比例しません。

それを踏まえたうえで、インフルエンサーを選ぶ際には2段階のステップがあります。まずは、インフルエンサーのフォロワー属性が、自社が発信したい層に合っているかどうかのチェックです。年齢層や男女比など、定量的なデータを確認して選定しましょう。

次は、インフルエンサーと自社ブランドとの相性チェックです。フォロワー属性がマッチしても、PRしたいブランドとの親和性があるかどうかは別です。インフルエンサーの投稿をチェックして、内容が今の旬と合うのか、ブランドとの親和性はあるのかを確認しましょう。

ステップ2に関しては、定量データでの判断が難しいため、なるべく依頼側がインフルエンサーのアカウントを目で見て確認する必要があります。

 

「ライブコマースは売れる」という文化をつくりたい

――今後の展望についてお聞かせください。

「ライブコマースは売上拡大に有効」という文化を醸成したいです。その想いがあるからこそ、弊社では成果報酬型のサービス提供を始めました。ノウハウや注意点を知らないままライブコマースに着手し、失敗してしまっているケースは多いように見受けられます。ライブコマースは「ただライブ配信をすれば売れる」魔法の杖ではありません。これからもお客さまには、正しいやり方をお伝えしつつ、成果を体感いただけるよう、尽力してまいります。

――最後に、ライブコマースへの挑戦を考えている方々に伝えたいことはありますか?

ライブコマースに限らず、広告施策で大切なことは、お客さまにきちんと商品・サービスの良さを伝えることです。当たり前のことではありますが、いわゆるダイレクトレスポンス型の広告では、「何円OFF!」とコストパフォーマンスの良さを伝えているものが多く見られます。有効な場合もあるとは思いますが、価格勝負になると、中長期的なブランド戦略として適切とはいえないでしょう。

ブランドが増えるなか、お客さまに商品の良さを伝えるのは困難です。どのような方に、商品のどういった点を知ってもらいたいのかを考え続け、「これがうちの良さだ」と繰り返し伝えることが、選ばれるブランドづくりには重要な役割を果たすでしょう。視聴者からコメントをいただけるライブ配信の良さを活かし、メッセージや商品を届けたい層や内容の見直しを行いながら、発信内容を調整、工夫していっていただきたいです。

お客さまに向き合ってニーズや魅力を把握する力の真価が問われる傾向は、今後ますます加速していくと考えています。お客さまから求められ続けるブランドを確立するために、ライブコマースをうまく活用してもらえればと思います。

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