生産スピードを上げるうえでのボトルネックは仕入費の増加。「STOCK YELL」でキャッシュフローの負担を軽減
リンゴジュースの製造過程で出る産業廃棄物をアップサイクリングした「アップルレザー」のような、植物由来のレザーを用いたブランド事業「LOVST TOKYO(ラヴィストトーキョー)」を展開するラヴィストトーキョー株式会社。新商品をクラドファンディングのような先行予約のスタイルで販売し、残りの在庫をECサイトで販売するという販売フローでブランドを運営しています。一定のニーズを見込める商品の製造数を上げる際、ボトルネックとなっていたのが一時的な仕入費の増大だったといいます。そこで役立ったのが、仕入費の4分割・後払い(BNPL)サービス「STOCK YELL(ストックエール)」でした。
製造小売事業モデルの課題は、キャッシュフローの「仕入費」にあり
――貴社の事業内容を教えてください。
植物由来のレザーを使ったDtoCブランド「LOVST TOKYO」を運営しています。ブランド立ち上げの背景には、社会課題として認知が高まっているCO2排出量の削減があります。畜産業は、人間が排出している温室効果ガスの14.5%も占めると言われているにもかかわらず、人口増加にともなって成長を続ける産業と言われています。また、森林伐採の33%も畜産業に起因していると言われており、畜産業に依存した生活を続けていくことは環境にとって悪循環であると認知しています。
そこで、これまでのライフスタイルを見直すきっかけを、ファッション領域からつくっていきたいというのが、私たちの入口でした。動物性のレザーは畜産業に依存し、レザーになる過程で大量の水や化学物質を用いるため、行き着いたのがヴィーガンレザーです。しかし、既存のヴィーガンレザーの樹脂層には、石油系の樹脂が用いられており、動物には配慮されているのですが、石油依存しているという点で、環境配慮の観点から懸念がありました。このような経緯から、素材として新たに使い始めたのが、リンゴジュースやワインの搾りかすなど、食品の生産過程で出る植物性廃棄物をアップサイクリングした、植物由来のヴィーガンレザーです。
創業は2020年6月、ブランドローンチは2021年。当初はイタリア産のアップルレザーを使用していましたが、2023年春からは念願叶って国産のアップルレザーを、自治体やメーカーと一緒に企画・開発し、商品のラインアップに導入しました。
――主な販売チャネルは何ですか?
売上の8割ほどはECサイトです。その他の売上は、委託や卸販売になっています。
――バンカブルを知ったきっかけと、当時抱えていた課題についてお聞かせください。
バンカブルを知ったのは、スタートアップ向け融資支援をしているINQ様からのご紹介です。紹介いただいたのは広告費の4分割・後払いサービス「AD YELL」でした。しかし、弊社の商材は最初に広告費を充ててユーザーを集客し、継続利用いただくことでLTVを高めていくサブスクリプションのようなビジネスモデルとは異なります。
事業初期フェーズでキャッシュフローに不安があるのは、広告費よりも一定量発生する仕入費でした。そこで、バンカブルに「仕入れに活用できる同様のサービスはありませんか」とお聞きしたところ、構想段階にあった「STOCK YELL」を利用できることになりました。
――仕入費に関する課題について、もう少し詳しくご紹介ください。
弊社の在庫回転率は、4ヵ月ほどで1周するスパンで回しています。現状、新作を出すときは、最終サンプルが上がってきた段階で、クラウドファンディングの形式をとってリリースしていきます。2ヵ月間は早割による販売とし、その期間で原価分を売上げます。商品が納品されたら、早割期間にオーダーいただいた方に発送し、残りを自社ECサイトで販売するといったフローです。
そのフローのなかで、ニーズが見込める商品はリピート生産をしていきたい。常に在庫を持っていてもいいと判断できたものは、オーダー量を増やして、原価率を少し下げて販売できるモデルにしていきたいと考えていたんです。
そうなると、一時的に大きな仕入費が発生するという不安材料が発生します。この仕入費も4ヵ月の支払いサイクルが組めたらなという思いがありました。
「STOCK YELL」は、資金繰り改善中の成長中スタートアップに価値のあるサービス
――「STOCK YELL」以外に検討した方法はありましたか?
将来債権を一部買い取っていただく仕組みの、いわゆるRBF(レベニュー・ベースド・ファイナンス)サービスも比較検討しましたが、弊社の事業フェーズを鑑みた際、より失うものが少ないほうが最適だろうと考え、「STOCK YELL」を選びました。
また、資金調達という面では、銀行融資やエクイティファイナンスも利用しています。ただ、まだ弊社のフェーズでは決算書ベースで見たときに、銀行に対して強気の交渉は難しいんですね。エクイティでの調達もしていますが、投資家と話を進めるのには一定の時間がかかります。スケールしていくなかで、メリットとデメリットを考えてやっていく必要があり、そういう点でも、今後の選択肢が増えたことが良かった点だと思いますね。
――「STOCK YELL」を利用した感想はいかがですか?
やり取りが非常にスムーズでした。製造を担ってくれている取引先のOEM会社に対し、発注前に話を通しておけば、立替月の上旬に多少メールでやり取りをするだけという流れでした。こちらの支払いは立て替えてもらった月の翌月からになるので、ランウェイが5ヵ月伸びるというサイクルになっています。
幸い、初回利用時に立て替えてもらって製造した商品は、4ヵ月でほぼ完売。
一方で、商品は実際に販売するまでわからないところもあり、百発百中売れる状態を作るのは至難の業ですから、まずは挑戦するしかない。特に、今は模倣品がどんどん作れてしまう時代なので、スピード感が重要なんです。仕入費が分割できることで、キャッシュフローへの不安を減らした状態で挑戦できる。経営者のメンタルにもメリットのあるサービスだと感じました。
あらゆるフェーズの製造小売事業モデルの会社に適したサービス
――「STOCK YELL」を勧めたいと思える企業について、事業フェーズやビジネスモデルをお聞かせください。
現状、国内の立て替えのみに使えるサービスなので、国内サプライヤーを使って製造する製造小売事業会社に適していると思います。使うタイミングとしては、生産量の増加により3%以上のコストメリットを出せるとき、または弊社のように新規商品をリリースする際のリスクヘッジですね。キャッシュフローの負担軽減のほか、マーケットインのスピードを早め、商品の需要を予測したいといったときにも使えるサービスだと思います。
事業フェーズに関しては、現時点で資金調達前にあたり、資金不足・調整で悩んでいる事業者の方や、日々のキャッシュフローに不安がある事業者の方など、基本的にどのフェーズでも活用できると思いますね。事業計画と連動してサービスをどのタイミングで活用した方がよりアクセルを踏みやすく、事業成長に繋がりやすいかを明確化させる点で、ユニットエコノミックスが見えてきていると良いのではないかと思います。
――今後の展望、バンカブルのサービスに期待することについてお聞かせください。
現状はOEM会社への生産に掛かる仕入費を立て替えていただいていますが、次は原料となる素材メーカーへの立て替えもお願いできないかなと思っています。
まとまって商品を生産するなら、それだけ素材も必要になってくる。在庫をもつというリスクも抱えているため、原料仕入れに対するキャッシュフローも軽減できたら嬉しいです。
今はグロースフェーズですので、波に乗って伸ばしていきたいですね。事業を成長させていくことで、多くの人にブランドを知っていただき、動物にも環境にも配慮した暮らしを届けて行きたいと思っています。
<本記事は、取材時点の情報です>
ADYELLを活用して、
さらなる事業成長へ