リカーリングモデルのビジネスを解説!メリットやデメリット、成功事例も紹介
リカーリングは、製品やサービスの販売後も取引が続き、継続的な収益が期待できるビジネスモデルです。以前から存在するビジネスモデルですが、他社との差異をつくり利益を上げる方法として、再注目されています。
本記事では、リカーリングの仕組みや種類、メリットとデメリットなどを詳しく解説します。成功事例も紹介しますので、リカーリングに興味のある方や導入を検討中の方はぜひ参考にしてください。
目次
リカーリングとは
■商品やサービスの販売で継続的な収益を生み出すビジネスモデル
■リカーリングの仕組み
■リカーリングとサブスクリプションの違い
■リカーリングビジネスの市場動向
リカーリングのメリット
■顧客を取り込み継続的な関係性を築ける
■マーケティング投資計画が立てやすい
リカーリングのデメリット
■事業が収益化するまで時間がかかる
■経常収益より支出が上回るリスクがある
■顧客の離脱を防ぐ施策が必要
リカーリングで必要な決済サービス
■継続課金システム
■多くの決済手段への対応
■リカーリングに対応した決済サービス
リカーリングの成功事例
■キヤノン|インクジェットプリンター
■Apple|App Store
■SONY|PlayStation Plus
リカーリングで顧客基盤を確立させよう
リカーリングとは
まずは、リカーリングについて基礎から確認していきましょう。
■商品やサービスの販売で継続的な収益を生み出すビジネスモデル
リカーリングは、継続的な収益を生み出すために、商品やサービスを定期的に提供するビジネスモデルです。このモデルの核となるのは「recurring」という英語で、「循環する」や「繰り返される」という意味があります。多くの企業がこの方式で、消耗品の販売や月額課金制を導入しています。
例えば、消耗品の販売では、顧客が一度プラットフォームや本体機器を購入後、必要に応じて定期的に関連商品を追加購入します。プリンターの場合はインクやトナー、ウォーターサーバーであれば水のボトルなどが該当するでしょう。この際、リカーリングを導入することにより、企業は一度の販売にとどまらず、長期にわたって安定した収入を確保することが可能になります。
一方で、月額課金制のモデルでは、基本的な月額料金に加えて、使用量に応じて追加料金が発生する仕組みです。電気や水道といった光熱費の支払いにも見られ、スマートフォンの通信料金においても、基本料金にデータ使用量に応じた料金が加算されるプランがよく見受けられます。
このようにリカーリングは、顧客が継続的に価値を感じる商品やサービスを提供することで、企業と顧客双方にメリットをもたらし、持続可能な経済活動を支えます。
■リカーリングの仕組み
リカーリングは、顧客と一定期間契約を結ぶことで継続的な利益を生むストック型のビジネスモデルといえます。
多くのビジネスモデルは、大きく「フロー型」と「ストック型」に分けられます。フロー型は、コンビニでの商品購入など1回限りの取引です。一方、リカーリングはストック型に分類され、顧客が本体製品を購入した後も、関連する消耗品やサービスを継続して購入することで、企業にとって安定した収益源となります。
例えば、アメリカのジレット社は、同社は剃刀の本体を無料または超低価格で提供し、顧客には定期的に替刃を購入していただくリカーリングモデルです。それにより、長期にわたる安定収入を実現しています。
また、インターネット上でのコンテンツ課金もリカーリングの一形態であり、サービスのみを提供する形で継続的な収益を得ています。リカーリングは、顧客に価値を持続的に提供することで、企業と顧客双方にとって利益をもたらす効果的な戦略です。
■リカーリングとサブスクリプションの違い
リカーリングとサブスクリプションは、どちらも継続収益を目指すビジネスモデルですが、その課金形態には明確な違いがあります。
リカーリングは従量課金制が基本で、消費者が本体やプラットフォームと初期契約を結んだ後、使用量に応じて追加で費用が発生します。例えば、プリンターであれば本体購入後にインクの使用量によって費用が加算されるといった具合です。
一方で、サブスクリプションは定額制が一般的で、サービス利用料は月額固定料金で設定されています。利用者の使用量に関わらず、毎月同じ料金が発生し、料金が変動することはありません。顧客は料金の予測がしやすく、企業は安定した収入を見込むことができます。
このように、リカーリングとサブスクリプションは、どちらも継続的な収益を目指す点では共通していますが、料金の計算方法と顧客への課金の仕方において異なります。2つの違いを理解し、自社の提供する商品やサービスに適したモデルを選択しましょう。
■リカーリングビジネスの市場動向
リカーリングを取り入れることで、安定した収益を確保し、継続的な顧客関係を構築できるため、さまざまな業界でその採用が進んでいます。例えば、デジタルサービス、オンライン教育、フードデリバリーなどがリカーリングモデルを活用しています。
2024年2月に株価が急上昇したunerry(ウネリー)社は、リカーリング顧客数の増加による安定収益が評価され、大きな市場の注目を集めました。この事例からも分かるように、リカーリングは投資家からも優れたビジネスモデルとして認識されています。
今後も業界を問わず、多くの企業がリカーリングを導入することが予想されます。そのなかでも事業を伸ばしていくには、顧客のニーズを正確に把握し、テクノロジーの進化や社会の変化に柔軟に対応することが重要となるでしょう。
リカーリングのメリット
リカーリングのメリットを紹介します。リカーリングが持つメリットを上手く活用できれば、ビジネスを大きく成長させられる可能性も高まります。
■顧客を取り込み継続的な関係性を築ける
リカーリングは、顧客との継続的な関係を構築するうえで効果的です。このモデルでは、一度顧客が契約すると、ベースとなる本体機器やプラットフォームがすでに使われているため、他の選択肢に移りにくくなります。
さらに、リカーリングは、アップセル(顧客単価の向上)やクロスセル(関連商品の同時販売)の機会も増加します。顧客がすでに利用しているサービスに追加機能や拡張パックを提供することで、利便性を高め、さらなる利益を生み出すことができるでしょう。リカーリングは顧客の満足度を高めつつ、企業の収益性を強化する双方にメリットのある戦略となります。
■マーケティング投資計画が立てやすい
リカーリングにより収益予測が容易となり、効率的なマーケティング投資計画を立案できます。契約者数や会員数といった明確な指標をもとに、売上の予測が立てやすくなります。さらに、顧客の属性情報などのデータ取得が容易であるため、具体的な販売戦略も策定しやすくなるでしょう。
また、リカーリングでは売上と広告投資の関係がわかりやすくなり、投資リターンの把握が容易になります。適切な広告戦略を立てることで、予算配分の精度も高まり、より戦略的な広告投資が可能となります。BNPL(※1)サービスを活用して広告への投資を強化することも、事業成長を加速させるための1つの手法となります。
Web広告にも特化した、広告費4分割・後払いサービス「AD YELL(アドエール)」(※2)をぜひご検討ください。キャッシュフローの圧迫を軽減して、事業の初期段階で必要な広告投資を可能にします。
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BNPLとは|法人向けBNPLの仕組みや活用するメリットを解説
※1 後払い式の決済手段「Buy Now, Pay Later」の略。信用調査が簡易なため、欧米・若年層を中心に市場の広がりを見せている。今後、さらなる市場規模の拡大が予測されており、BtoB向けサービスの広がりも注目を集めている。
※2 「AD YELL」は、バンカブルが提供しているWeb広告の出稿費用を4回に分割・後払いが可能となるサービスです。請求書払いと法人カード払いに対応しており、オンラインによるお申し込みから最短3営業日でご利用が可能になります。原則として、担保や連帯保証人のご用意が不要(*)で、融資ではなく立替でサポートするため、今後の事業者さまの借入枠にも影響を及ぼしません。これらのサービスを通じて、事業者さまのキャッシュサイクルを改善し、運転資金を圧迫しない形で事業成長を支援いたします。
*「担保・連帯保証不要」は原則であり、場合によってはその限りではありません。ご了承くださいませ。
リカーリングのデメリット
リカーリングのデメリットも紹介します。どのようなデメリットがあるのか理解した上で、対策や計画を立てていきましょう。
■事業が収益化するまで時間がかかる
リカーリングビジネスモデルでは、継続利用が前提となるため、導入直後に大きな収益を見込むのは難しくなります。事業が安定して収益を生み出すまでには時間がかかり、導入初期の投資回収も長期間にわたることが一般的です。
また、広告費のキャッシュフローへ与える影響が懸念される場合、広告費の4分割・後払いサービス「AD YELL」のようなサービスの活用が有効です。初期費用の負担を軽減しながら、必要なプロモーション活動の継続に導きます。このような支払いサービスを上手く活用することで、事業の持続可能性を高め、収益化へとつなげられます。
■経常収益より支出が上回るリスクがある
リカーリングでは、料金設定が低すぎると経常収益を超える支出が生じるリスクがあります。特にリカーリングでは、システムメンテナンスや物理的な発送業務などの予想外のコストに備え、詳細なコスト計画が必要になります。
また、リカーリングで収益を拡大させるためには、継続収益の適正化を目指した施策を実施しましょう。料金設定とコスト管理が、リカーリングを成功させるために重要となります。
■顧客の離脱を防ぐ施策が必要
リカーリングモデルでは、顧客の継続的な利用が収益を支えるため、顧客の離脱を防ぐ施策も欠かせません。常に顧客が興味を持ち続けるよう、新機能の追加やサービスの独自性が重要となります。
例えば、期間限定のプロモーションを行うことで、顧客に新鮮な体験を提供します。また、サービスの質を定期的にアップデートすることは、顧客が飽きて離脱するのを防ぐためにも効果的です。
リカーリングにおいて、顧客の離脱は収入減少に直結するため、一度離脱した顧客を再契約させるのは難しいといえます。そのため、顧客が満足し続けるサービスを提供し続けることが、ビジネスの成長につながるでしょう。
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スタートアップ企業に効果的な広告戦略とは?広告効果を高めるポイントや成功事例を紹介
リカーリングで必要な決済サービス
リカーリングビジネスで必要となる決済サービスの機能を紹介します。継続が前提のリカーリングビジネスでは、継続課金システムが欠かせません。また、顧客のニーズに合わせた決済手段への対応も必要となります。
■継続課金システム
継続課金システムは、リカーリングやサブスクリプションと相性がいいです。このシステムは、「毎月利用料金を徴収する」「一定期間ごとに商品を販売する」などのビジネスモデルに適しており、確実に代金を収集することができます。ユーザーにとっても、一度設定すればその後の料金が自動で支払われるため、手間がかからずスムーズで便利です。
また、継続課金システムには、定額サービスだけでなく従量課金制にも対応可能なものがあります。料金が月ごとに変動するビジネスモデルや、使用量に応じて課金額が変わる場合には、柔軟な設定が可能な継続課金システムを選びましょう。
■多くの決済手段への対応
顧客が希望する支払い方法で決済できることは、現代のビジネスにおいて欠かせない要素です。
キャッシュレスの普及により、現金以外の支払いやクレジットカード決済が広く活用されていますが、全ての顧客層に適したわけではありません。若者や高齢者など、カードを持たない人々も多く、そうした層には口座引落しが望まれます。
また、スマートフォンアプリの課金など小額決済では、キャリア決済が好まれる傾向にあります。リカーリングはターゲット顧客のニーズに応じて、多様な支払い手段を提供することが求められます。
■リカーリングに対応した決済サービス
継続課金方式が選択できる決済サービスは2つあります。
VeriTrans4G
「VeriTrans4G」は、DGフィナンシャルテクノロジーによって提供される決済サービスです。このサービスは、クレジットカード、Web口座振替、キャリア決済、電子マネー決済といった複数の決済手段をサポートしています。
特徴的なのは、クレジットカード情報の自動更新(洗替)機能であり、登録カードの有効期限切れによる決済トラブルを防ぎます。また、前回の取引IDに紐づくクレジットカード情報を呼び出し、顧客がカード番号を再度入力せずに決済が完了する再取引機能も搭載されています。
この機能により、消費者はスムーズに継続課金を行うことができます。
SBペイメントサービス
「SBペイメントサービス」は、異なる金額を定期的に決済できる継続課金(定期・従量)方式を提供しています。このサービスもクレジットカードの洗替サービスを含め、リカーリングに適した機能を備えています。定期的な決済が求められるリカーリングにおいて、企業が顧客との信頼関係を維持しやすくする設計がなされています。
リカーリングの成功事例
ここでは、リカーリングの成功事例を紹介します。リカーリングをより深く理解するため、ぜひ参考にしてください。
■キヤノン|インクジェットプリンター
キヤノンはインクジェットプリンターを原価以下の低価格で提供し、専用インクの高額販売でリカーリング収益を実現しています。
趣味や写真プリント、在宅勤務をターゲットに、消耗品と保守サービスを継続的に提供することで、顧客の離脱を防ぎながら安定した利益を生み出しています。キヤノンのリカーリングは、付属品による収益化がポイントとなっています。
■Apple|App Store
AppleのApp Storeは、世界中の開発者がアプリを公開するプラットフォームです。開発者は年間登録料とともに、有料アプリやアプリ内課金から得た売上の15~30%を決済手数料としてAppleに支払います。iPhoneの普及に伴いユーザーが増加することで、App Storeからの収益も増大しています。
※参考:App Store
■SONY|PlayStation Plus
SONYはPlayStation Plusを通じて、ゲーム機の本体購入者に加入者限定の割引や特典を提供しています。SONYのリカーリングは、SONYの売上の4~5割を占めるほどの大きな柱となっています。加入者への特別サービスやオンラインマルチプレイは、顧客ロイヤルティの向上にも寄与しています。
※参考:PlayStation®Plus | ゲームと出会えるPlayStationのサブスク
リカーリングで顧客基盤を確立させよう
リカーリングは、商品を一度販売した後も継続的な取引を通じて利益を生み出すビジネスモデルです。特に、消耗品の販売や月額課金制に適しており、一度顧客基盤が確立されれば、安定した収益源となります。
ただし、新規顧客の集客には時間がかかるため、売上予測が立てやすい一方で、初期のキャッシュフローが課題になることもあります。そういった際には、弊社が提供する広告費の4分割・後払いを可能にする「AD YELL」が有効に働く場合があります。「AD YELL」は事業の初期段階での集客活動をサポートし、リカーリングビジネスの成長を加速します。リカーリングを活用して、長期的なビジネス成功を目指しましょう。
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