【シリーズBにおける資金調達方法】投資ラウンドでの定義、注意点や事例を紹介

2024.10.24

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【シリーズBにおける資金調達方法】投資ラウンドでの定義、注意点や事例を紹介

シリーズBは、投資ラウンドの1つです。一般的には、安定した収益があり、ビジネスが軌道に乗り出している企業が、シリーズBにあるとみなされます。

本記事では、シリーズBの定義などの基本や、選択肢となる具体的な資金調達方法を紹介します。ぜひお役立てください。

 

 

目次

投資ラウンドのシリーズBとは
■シリーズBの定義
■その他の投資ラウンドの特徴
■直近のシリーズBにおける資金調達事情
シリーズBで検討したい5つの資金調達方法
■VCやCVC
■民間の金融機関
■日本政策金融公庫
■自治体主導の制度融資
■ファクタリング
シリーズBで資金調達する際のポイント
■複数の資金調達方法を比較検討する
■自社の将来性を具体的にアピールする
■資金調達は早期に準備開始
■資金調達先との関係性も重視する
シリーズBを迎えた経営者の生の声
シリーズBで資金調達する際の注意点
■黒字倒産を防ぐために、キャッシュフローを見直す
■契約書の内容は弁護士など専門家のアドバイスを受ける
シリーズBの資金調達を成功させ、企業の成長を加速させよう

 

投資ラウンドのシリーズBとは

シリーズBは投資ラウンドの1つであり、数億円規模の多くの資金調達が必要となる段階

投資ラウンドとは、企業の成長段階に応じた資金調達のフェーズであり、投資家がスタートアップ企業へ投資する際に、企業状況を判断する基準とされます。

投資ラウンドは、エンジェルラウンド、シード、シリーズA、シリーズB、シリーズC、シリーズD以降に大きく分類され、どのラウンドに該当するかは、ビジネスの進捗状況や企業の規模、ビジネスモデルの将来性、市場の反応などにより判断されます。

本章では、投資ラウンドのなかで、シリーズBはどのように定義されているのかを解説します。

■シリーズBの定義

シリーズBは投資ラウンドのなかでも特に安定した収益を上げ、ビジネスが軌道に乗っている企業を指します。事業フェーズでいうとミドル期からレイター期にあたり、収益が安定していることから上場を視野に入れ始める企業も少なくありません。

シリーズBは、事業成長のために多くの資金が必要となる段階です。例えば、技術力を強化するための研究開発や設備投資、新しい市場に進出するためのマーケティング活動や新規顧客の開拓、優秀な人材の確保など、数億円の資金調達が必要となることが多い傾向にあります。

■その他の投資ラウンドの特徴

先述したように、投資ラウンドは企業の状況によりいくつかに分けられます。それぞれの判断の目安は次の通りです。

 

投資ラウンド 企業状況 資金調達の額
エンジェルラウンド
(プレシードラウンド)
起業の準備 数百~数千万円
シード 起業したが赤字経営 数千万円
シリーズA PMFが見えてきている段階 数千万~数億円
シリーズB 事業拡大のためマーケティングや開発に力を入れる 数億円
シリーズC 黒字経営を実現して事業の拡大を検討 数億~数十億円
シリーズD IPOやM&Aの検討段階 数十億円

 

大きくまとめると、シリーズAは新製品の市場投入、シリーズBは市場拡大、シリーズCは事業のさらなる拡大・展開が目的となります。

各フェーズに合わせて資金調達を行うことが、企業の成長の鍵を握るといえるでしょう。

■直近のシリーズBにおける資金調達事情

2023年ものづくり白書によると、中小企業の資金繰りは2022年より厳しくなっており、短期の借入増加傾向にあります。国内でのスタートアップ企業の資金調達額も下落傾向にありますが、大型の資金調達に成功している企業もあります。

2024年には、シリーズBで200億円の資金調達を行った企業があり、イーロン・マスク氏が率いるxAIは海外で約9,400万円を調達しています。

適切な計画を立案し実行していくことで、シリーズBでの資金調達の成功の可能性も高められるでしょう。

 

シリーズBで検討したい5つの資金調達方法

シリーズBではVCやCVC、融資、ファクタリングなどでの資金調達が検討できる

シリーズBでは、数億円規模の資金調達が必要になります。具体的にどのような方法で調達したらよいのでしょうか。

■VCやCVC

シリーズBでの資金調達には、VC(ベンチャーキャピタル)やCVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)が活用できます。VCは未上場のベンチャー企業やスタートアップ企業をターゲットとした投資会社であり、将来的な株式の売却益を目的としています。CVCは本業を持つ企業が、投資先とのシナジーを求めて出資する形態です。投資企業との連携を強化し、本業の成長を図ることが期待できます。

VCやCVCはエクイティファイナンスに当たるため、融資などのデットファイナンスとは異なり、直接資金を返済することはありません。事業を成長させ、企業価値を高めることが出資者に対するお返しとみなされます。VCやCVCから得た資金をそのまま企業の資本として活用できることは、企業にとってメリットといえるでしょう。

ただし、VCやCVCには持株比率の低下や投資家の経営参画、早期の成果が求められるプレッシャーがあるなどの課題もあります。VCやCVCを活用する際は、その特性とリスクを十分理解し、適切な戦略を立てることが重要といえます。

■民間の金融機関

シリーズBにある企業は、シリーズAなどそれより前の投資ラウンドよりも収益が安定しているため、金融機関からの信頼を得やすく、融資条件の交渉もスムーズに進む傾向にあります。

資金調達の主な交渉先は大手メガバンク、地域密着の中小銀行、信用金庫などです。これらの金融期間から融資を受けることで、大規模な設備投資や市場拡大を実現できるでしょう。

ただし、元本に加え利子の返済も必要となるため、将来の資金繰りを踏まえ、適切な借入を行うことが大切です。

■日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は政府が全面出資している機関であり、民間の金融機関の取り組みを補完する役割を持っています。民間金融機関よりも金利が低い傾向にあり、またシリーズBにあるスタートアップ企業やベンチャー企業にとって、活用しやすい融資もある点が魅力です。

例えば、事業の拡大向けの融資である「企業活力強化資金」や「IT活用促進資金」などは、設備投資やITインフラの強化などに活用できます。さまざまな融資制度があるため、目的や企業の状況に合わせて活用する融資を検討していきましょう。

日本政策金融公庫が実施している融資については、次の記事で詳しく解説しています。あわせてご参考になさってください。

関連記事:
国庫を財源とする融資制度を解説!日本政策金融公庫とは

 

■自治体主導の制度融資

制度融資は、都道府県や各市町村の自治体が設けている融資制度です。スタートアップ企業やベンチャー企業など、中小企業の資金調達のサポートを目的としています。

そのため、民間の金融機関の融資と比べ金利が低く、借入期間が長い傾向にあります。審査には時間がかかる可能性があり、場合によっては数カ月を要するケースもあるため、活用を希望する場合は早めの計画・実行が必要となります。

低金利かつ長期の借入が可能なことから、事業成長をねらうシリーズBの企業にとって有用な選択肢といえるでしょう。

■ファクタリング

ファクタリングは、保有する売掛債権などを期日前に現金化することで資金を得る方法です。正確には、企業が保有する売掛債権をファクタリング会社に売却、手数料を差し引いた額が得られる資金となります。シリーズBで収益が安定している企業なら、手持ちの売掛債権だけで必要な資金を調達できる可能性もあるでしょう。

ファクタリング会社や企業の状況によっては即日での現金化が可能なケースもあります。運転資金をまかなうため、次の資金を得られるまでのつなぎにするためなど、迅速な資金調達が必要な際に検討価値の高い方法といえるでしょう。

関連記事:
ファクタリングとは?メリットやデメリット、資金繰りで注意したい点も紹介

 

シリーズBで資金調達する際のポイント

シリーズBで資金調達する際は複数の方法を検討する、資金調達先との関係も重視することなどが大切

シリーズBにおいて希望する資金調達を成功させるためには、いくつかおさえておきたいポイントがあります。

■複数の資金調達方法を比較検討する

シリーズBでの資金調達においては、特に複数の資金調達方法を比較検討することが重要といえます。資金調達可能な金額や条件などは相談先により異なります。例えば、融資の場合、金融機関ごとに金利や返済条件が異なるため、少しでも自社にとっての負担が少ないところを選びたいところです。

また、資金調達方法には、それぞれにメリットとデメリットがあります。先述したようにVCやCVCは融資のような返済義務がない一方で、出資者の経営参画により意思決定の柔軟性に影響が出る可能性があり、公庫の融資や制度融資は金利が低いものの「迅速な資金調達」はできません。

シリーズBで資金調達を行う際は、複数の方法を比較し、将来的な負担やリスクも踏まえたうえで適切な手段を選ぶことが大切になります。

■自社の将来性を具体的にアピールする

シリーズBでの資金調達を成功させるポイントは、投資家や金融機関に対して自社の将来性を具体的にアピールすることです。

VCやCVCの投資を引き出すためには、将来性を示し投資によって相手にメリットがあることを伝える必要があります。また、金融機関からの融資を得るためには、これまでの売上実績などをもとに、返済能力があることを納得していただくことが必要です。

独自の技術や強力な顧客基盤を強調するなど、自社の独自の強みや収益性を具体的にアピールし、ビジネスモデルや市場の成長性を示すようにしましょう。投資家や金融機関の信頼を得られるかどうかが、資金調達の可否を握る鍵となります。

■資金調達は早期に準備開始

実際に準備を始めてから希望する資金調達を行うには、1年程度かかることもあります。思うように資金調達が進まない場合はさらに時間がかかり、企業の成長スピードが遅れる可能性があります。

例えば、資金調達実行の1年前から投資家との関係構築やビジネスプランの精緻化を進めることでスムーズに資金調達を実現し、成長を加速させることができたというケースもあります。

適切なタイミングで企業の成長・事業拡大に投資できるよう、早期の準備が大切だといえるでしょう。

■資金調達先との関係性も重視する

資金調達先との良好な関係性は、企業の成長に寄与します。

例えば、VCやCVCとのつながりが生まれると、出資先の人脈や知識も手に入れられる可能性が高まるなど、より多様なサポートを期待できます。結果的に事業の発展や新たなビジネスチャンスを得ることにもつながるでしょう。

また、金融機関から融資を受けた場合、滞納なく返済した実績を残すことで次の融資審査のハードルが下がり、より有利な条件で資金を調達できる可能性が高まります。

積極的にコミュニケーションを取り、信頼関係を構築していきましょう。

 

シリーズBを迎えた経営者の生の声

シリーズBの資金調達成功事例

シリーズBでの資金調達を成功させた事例をご紹介します。

X Mile株式会社は2019年に会社を設立し、3年目の資金調達で成長率500%を達成しました。2024年にはシリーズBに到達し、さらなる成長を目指しています。ポジウィル株式会社は、VCからの出資を受けて会社設立から3年でシリーズAに移行し、7期目でシリーズBまで成長しました。

両社の詳しい事例については、こちらのイベントレポートでご紹介しています。スタートアップ企業やベンチャー企業の資金調達の成功の鍵や、事業フェーズごとの課題と向き合い方についてさまざまなヒントを得られるレポートとなっていますので、ぜひお役立てください。

【アフターレポート】急成長スタートアップ経営者が語る、事業フェーズごとの課題とその向き合い方|バンカブル・FastGrow共催イベントレポート

 

シリーズBで資金調達する際の注意点

シリーズBで資金調達する際は、キャッシュフローの見直しや専門家にアドバイスをもらうなども大切

事業の成長に伴い扱う資金の額は増えていきます。数億円規模の資金調達を行うシリーズBにおいて、資金を効率よく使用するためには、次の注意点もおさえておきましょう。

■黒字倒産を防ぐために、キャッシュフローを見直す

どれだけ収益を出して帳簿上は黒字だとしても、手元のキャッシュが少ないなどで毎月の支払いが滞れば、倒産する可能性があります。そのため、資金調達後も支払い条件の見直しや、キャッシュフローの管理を徹底することが必要です。

キャッシュフローを改善するには、キャッシュインを早め、キャッシュアウトを遅らせることが1つのポイントとなります。支払いサイトの短縮や取引先との支払い条件の再交渉を行うなどの対策を検討してみましょう。弊社の「AD YELL(アドエール)」(※1)のようなBNPLサービスを活用するのも有用です。一般的な支払いサイクル(約30日の一括払い、前払い)を延長することでキャッシュフローの負担を軽減、また借入枠に影響しないため、今後の融資にも悪影響を及ぼしません。

 

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持続的に企業を成長させるには、定期的なキャッシュフロー分析を行い、問題が発生する前に対策を講じることが大切です。

関連記事:
BNPLとは|法人向けBNPLの仕組みや活用するメリットを解説

 

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■契約書の内容は弁護士など専門家のアドバイスを受ける

投資や出資の契約書には、経営方針の変更や新規事業の開始に対する制約など、経営に制約を受ける可能性のある条項が含まれることがあります。

契約書に記載された条項が自社にとって不利な条件である場合、後から問題が発生する事態になりかねません。適切な条件で契約をするためには、弁護士など専門家に相談し、契約内容をしっかりと確認するようにしましょう。将来的な経営リスクの軽減につながります。

 

シリーズB成長後の上場確率は?

シリーズB成長が必ず上場につながるわけではない

シリーズBまで成長した企業のすべてが、将来上場できるという保証はありません。実際に上場している企業は法人全体の0.1%以下です。

上場に必要な審査基準や経営基準を満たすのは容易ではないこと、上場を目指す過程で資金調達や経営戦略の変更などが必要となり、結果上場を見送る場合もあるためです。

上場できれば社会的信用や知名度は大きく向上し、資金調達の選択肢も広がります。しかし、非上場でも大企業に成長している企業は多く存在し、必ずしも上場が成功の唯一の道ではありません。上場の可否に関わらず、堅実な経営と成長戦略を立案・実行していくことが重要だといえるでしょう。

 

シリーズBの資金調達を成功させ、企業の成長を加速させよう

シリーズBの資金調達を成功させ、企業の成長を加速させよう

シリーズBは、企業がさらなる成長を目指すための重要な投資ラウンドです。例えば、VCや金融機関から数億円規模の資金を調達することで、設備投資や市場拡大、新規顧客の集客などに資金を充てることができます。これにより、事業の成長を加速させることが可能となるでしょう。

また、資金調達と同時に、自社のキャッシュフローの見直しを行い、黒字倒産を防ぐための対策も講じる必要があります。持続的な成長を実現するためにも、シリーズBでの資金調達では計画的な準備を行い、自社に適した方法を模索していきましょう。

 


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