広告代理店の起業で失敗しない!資金繰りの成功ポイントや注意点、起業手続きなど詳しく解説

2024.04.08

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広告代理店の起業で失敗しない!資金繰りの成功ポイントや注意点、起業手続きなど詳しく解説

広告代理店の起業は、資金繰りの面でも小規模から始めることが得策といえるでしょう。事務所を構えて従業員を雇用した場合、初期費用だけでも約1,000万円が必要とされています。

しかし、開業前から多額の費用を準備することは容易ではないことが多い傾向にあります。広告代理店の開業準備を進めていくなかで「起業にはどのくらいの資金が必要か」「起業して失敗しないだろうか」と不安になることも多いのではないでしょうか。

本記事では、起業資金の相場と調達方法、失敗をできる限り避けるための注意点などを詳しく解説したうえで、起業を成功させるポイントや起業の具体的な流れについても紹介しています。これから広告代理店を立ち上げようとお考えの方は、ぜひお役立てください。

目次

広告代理店の起業資金の目安
広告代理店の起業資金の調達方法
■日本政策金融公庫からの融資
■信用保証を付けた融資
■親族や友人・知人からの借入
■VCやクラウドファンディングの活用
広告代理店の起業での注意点
■運転資金が尽きると黒字倒産の可能性がある
■ノウハウのアップデートができていない
■業務に関わる最新の法律を熟知していない
広告代理店の起業を成功させる方法
■スモールステップで起業する
■補助金・助成金を申請して資金を確保する
■公庫の融資制度を活用する
■事業が安定したら法人化して節税を行う
■運転資金に余裕を持たせる
広告代理店を起業する流れ
■開業場所を決定する
■事業計画書の作成
■開業・運転資金を確保して起業
広告代理店を起業する際によくある質問
■広告業界が未経験でも起業できる?
■広告代理店の起業に資格は必要?
■広告代理店の起業の相談場所は?
広告代理店は小規模で起業し、成功につなげよう

 

広告代理店の起業資金の目安

広告代理店の起業には初期投資として約1,000万円の資金が必要とされることが一般的

広告代理店を立ち上げる際には、規模や運営形態によって必要な資金が大きく異なります。主な費用は、経営が軌道に乗るまでの運転資金と生活費です。

物理的な事務所を構え、従業員を雇用する場合、初期投資として約1,000万円の資金が必要とされることが一般的です。こちらの金額には、事務所の保証金、内装工事費、オフィス備品の購入費、新入社員の教育費などが含まれます。

※参考:広告代理店 | 業種別開業ガイド | J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]

一方で、自宅を事務所として活用し、個人で業務を開始する場合は、比較的少ない資金で起業することが可能です。自宅をオフィスとすることで、家賃や設備投資のコストを大幅に削減でき、初期のリスクを抑えられます。

どちらの方法を選択するにせよ、広告代理店の起業にはしっかりとした資金計画が重要といえます。将来の収益見込みに基づいて、必要な資金を事前に見積もり、資金調達の方法を検討していきましょう。

 

広告代理店の起業資金の調達方法

広告代理店を起業する際の資金調達手段には、融資や知人からの借入、VC、クラウドファンディングなどある

広告代理店を立ち上げる際は財務リスクを分散させるためにも自己資金だけでなく、外部からの資金調達方法も検討しましょう。

■日本政策金融公庫からの融資

日本政策金融公庫からは、新創業融資制度にて最大3,000万円の融資を受けられます。こちらの制度は原則として無担保・無保証人での融資が可能であり、起業初期の財務支援に非常に役立つでしょう。なお、融資を受けるためには、事業計画の信頼性と返済能力を示すことが重要といわれています。

融資につなげられるよう、事業の見通しを立て、事業計画を綿密に作りましょう。

■信用保証を付けた融資

民間金融機関からの融資を受けるには、保証人の有無も判断基準とされます。そこで信用保証協会が保証人となることで、融資の確率を高めることができます。

創業して間もない、特に実績がない起業家でも、信用保証を活用することで、融資の機会を広げることが可能です。ただし、発生する保証料を考慮する必要はあります。

資金面に余裕があり、さらなる融資を求める場合に検討してみるのもよいでしょう。

■親族や友人・知人からの借入

親族や友人からの借入は、返済条件を双方の合意によって柔軟に決めることができ、手続きも簡単に進められます。しかし、関係性が損なわれるリスクもあるため、借用書にて利子や返済期限などを取り決め、正式な手続きを踏むことが望ましいでしょう。

また、履歴を記録するためにも、銀行口座を通して返済を行うとよいでしょう。

■VCやクラウドファンディングの活用

ベンチャーキャピタル(VC)からの出資やクラウドファンディングを通じた資金調達も選択肢の一つです。特に、クラウドファンディングは、事業内容やビジョンに共感する支援者から資金を集めることができ、返済の必要がない場合もあります。

想定以上の資金を調達できることもあるため、支援者をいかに増やせるかが重要といえるでしょう。

 

広告代理店の起業での注意点

広告代理店を起業する際は、黒字倒産の可能性があることや新技術・法律など常に最新情報を把握する必要がある点に注意

広告代理店の起業にあたっては、いくつかの注意点があります。主な失敗例を把握し事前に対策を立てていきましょう。

■運転資金が尽きると黒字倒産の可能性がある

一定の売上金があっても、クライアントからの支払い遅延により手元に現金がないと、運転資金が尽きてしまうリスクがあります。特に、媒体費の先払いが必要な場合、売掛金が増える一方で現金が不足し、黒字にも関わらず倒産する「黒字倒産」の危険性が高まります。

そのため、先払いの費用が大きくなっても資金が尽きないよう、収支のタイミングを把握しキャッシュフローの管理を徹底することが必要です。

■ノウハウのアップデートができていない

デジタルマーケティングの世界では、常に新しい技術や媒体が登場し、アルゴリズムの変更が頻繁に起こります。以前有効だった戦略が通用しなくなることも珍しくありません。過去の経験だけに頼り、最新のトレンドや技術のアップデートが追いつかないと、効果的な広告運用ができなくなり、顧客が離れる要因になります。

そのため、自ら積極的に情報を収集し、知識を更新し続けたり、情報のアップデートが可能な連携ができるパートナーと並走することが必要です。

■業務に関わる最新の法律を熟知していない

広告業界は、景品表示法や消費者保護法など、ケアしなければならない法律があります。これらの法律を知らずに違反してしまうと、罰則が課せられ、企業自体の信用力が低くなるなど、リピテーションリスクが伴います。

広告代理店として起業する際には、これらの法律を熟知し、遵守することが必要です。誤った広告表示により顧客や信用を失わないよう、法律に則った運営を心がけるようにしましょう。

例えば、景品表示法の改正により、2023年10月からステルスマーケティングが違法となりました。法改正により広告代理店が気をつけるべきことや広告業界の動向なども変化しています。柔軟に対策できるよう、こちらの記事もお役立てください。

関連記事:

23年10月から開始された「ステマ規制」。REGAL CORE代表に聞く変更点と対策実態

 

広告代理店の起業を成功させる方法

広告代理店の起業を成功させるには、小規模からスタートさせるほか、公的機関の補助や融資をうまく活用することが大切

広告代理店を起業した後は運転資金を十分に確保し、資金繰りにも注意を払いましょう。ここでは、起業を成功させるための財務面の戦略を紹介します。

■スモールステップで起業する

最初から大規模な事務所を構え、多数の従業員を雇うのではなく、小さく始めることが賢明な場合があります。スモールスタートすることで、初期費用と運営費を抑え、運転資金の圧迫を避けられます。

初期費用を大幅に削減するには、オフィス代の削減が有効です。ビジネスの規模が小さい段階では、自宅で仕事をするようにし、必要に応じてシェアオフィスやコワーキングスペースを活用するといった選択肢があります。クライアントとの打ち合わせ時のみに活用する方法もあります。

また、シェアオフィスやコワーキングスペースは幅広い業種のビジネスパーソンが活用しているため、他の起業家との交流から新たなアイデアが生まれることもあります。

■補助金・助成金を申請して資金を確保する

国や自治体が提供する補助金や助成金は返済不要なため、事業の立ち上げや運転資金の大きな助けとなるでしょう。起業時には、創業助成金、そのほかの事業の成長を図る時にはIT導入補助金や業務改善助成金などが役立ちます。

ただし、申請には時間がかかり、多くは後払いでの支給となります。早めに情報を集めて、運転資金が切迫する前に手続きを始めましょう。

■公庫の融資制度を活用する

日本政策金融公庫などの公的機関が提供する融資制度は、起業家にとって貴重な資金調達手段です。特に、「新創業融資制度」では、原則として無担保・無保証人で最大3,000万円の融資が受けられます。

さらに、「新規開業資金」制度で特定の条件を満たす場合は最大7,200万円の融資も受けられる可能性があります。これらの制度を活用することで、必要な設備投資や運転資金を確保し、事業を安定して始められるでしょう。

※参考:創業時支援|日本政策金融公庫

■事業が安定したら法人化して節税を行う

事業が一定の規模に達したら、節税の観点からも法人化を検討しましょう。法人化により、経費として認められる範囲が広がり、税率の面でも所得税より法人税の方が上限が低く設定されるといったメリットがあります。

適切なタイミングで法人化を行うことで、節税効果を最大限に活かし、事業の利益を増やすことが可能になります。法人化への判断基準としては、売上高や利益の額を考慮することが一般的です。

■運転資金に余裕を持たせる

広告業界では、プロジェクトの受注後に作業を開始し、成果物を納品してから入金が行われるまでに時間がかかるケースが多々あります。そのため、一定期間における収益と損失を示す財務諸表のひとつ、PL(損益計算書)上、利益が出ている状態でも、実際に手元に現金がないという状況が生じやすいです。

入金までのタイムタグが長くても運転資金が尽きないよう、粗利益の3〜6カ月分を常に確保しておくことが望ましいとされています。そうすることで入金のタイミングに左右されず、安定した事業運営が可能になるでしょう。

例えば、「AD YELL PRO(アドエール プロ)※1」は広告代理店向けの媒体費の支払いサイト延長サービス(BNPL※2)です。こちらサービスの導入事例を挙げると、「株式会社オールマーケ」では「AD YELL PRO」を活用することで、運転資金に余裕を持ちながら効果的に新規顧客の集客に成功しています。

※1 「AD YELL PRO」は、バンカブルが提供している広告代理店から媒体社へ支払われる費用の支払いサイトを、31日もしくは61日に延長できるサービスです。

※2 後払い式の決済手段「Buy Now, Pay Later」の略。信用調査が簡易なため、欧米・若年層を中心に市場の広がりを見せている。今後、さらなる市場規模の拡大が予測されており、BtoB向けサービスの広がりも注目を集めている。

 

広告代理店を起業する流れ

広告代理店を起業する際のステップは大きく3つ

広告代理店を起業する際には、事業のビジョンを明確にしたり、資金調達を行ったり、複数のステップがあります。

■開業場所を決定する

初期費用を抑えて広告代理店を開業したいのであれば、まずは自宅を事務所として兼用利用するのがよいでしょう。特に個人事業主としてスタートする場合におすすめします。

一方、法人として登記し、自宅の住所を公にしたくない場合は、別途事務所の確保が必要です。事務所の立地はアクセスの利便性を考慮することが重要といわれてきましたが、オンラインでのやり取りも可能になった昨今では、立地は従来ほど重要視されなくなりました。

ご自身が用意できる資金や希望する経営スタイルにあった場所で、広告代理店を立ち上げましょう。

■事業計画書の作成

事業計画書を作成することにより、将来の事業展開を見据え、必要な資金の調達や運営の方向性を決定できます。事業計画書とは、広告代理店のビジョンと目標を体系的にまとめた重要な書類です。

事業計画書には、事業の目的、ターゲット市場、財務計画、マーケティング戦略などを盛り込みます。事業の信頼性を高めることで、投資家や金融機関からの融資が受けやすくなるため、事業計画書は入念に作りましょう。

関連記事:

【事業フェーズ別】スタートアップの事業計画の作成ポイント|事業計画書で重要な要素とは

■開業・運転資金を確保して起業

起業に必要な資金を確保するためには、自己資金、家族や友人からの借入、銀行融資、補助金や助成金など、さまざまな方法があります。

まず、個人事業主としてスタートする場合は、基本的なIT設備があれば事業を開始できますが、法人として展開する場合や従業員を雇う場合は、それ以上の資金が必要になります。広告代理店としての具体的な業務内容や規模に応じて、必要な資金を見積もりましょう。

資金調達後は、税務署に個人事業主または法人としての開業届を提出し、正式に事業を開始します。これまで紹介してきた経営ノウハウや法律の知識を身に付けながら、事業を軌道に乗せていきましょう。

関連記事:

ベンチャー企業の資金調達方法とは?調達先の選択肢と資金調達時の注意点を徹底解説

広告代理店を起業する際によくある質問

広告代理店の起業に関するよくある質問への回答

広告代理店の起業において、何らかの制約や条件があるのか気になることもあるでしょう。ここでは、よくある質問に対して、疑問や不安を解消できるよう回答しています。

■広告業界が未経験でも起業できる?

広告業界未経験でも起業は可能です。特に、Webを中心とした専門的な広告代理店であれば、ご自身が興味を持つ分野や得意な領域をビジネスの中心に据えることで、成功のチャンスをつかむことができるでしょう。

広告業界のノウハウは、関連する書籍やセミナー、オンラインコースなどを通じて自学自習することも可能です。情熱と学習意欲があれば、業界未経験からでも広告代理店の起業を成功させることができます。

■広告代理店の起業に資格は必要?

広告代理店を開業するために特別な資格は必要ありません。誰もが自由に起業する機会を持っています。

しかし、クライアントを集客し継続的なビジネスを展開するためには、営業力やマーケティングの知識、クリエイティブな企画・制作スキルなどが重要と考えられます。これらのスキルは、実務経験や継続的な学習を通じて習得することが可能なので、意欲的に取り組むことが大切です。

■広告代理店の起業の相談場所は?

起業に関する相談は、日本政策金融公庫や商工会・商工会議所、中小企業基盤整備機構、よろず支援拠点など、多くの公的機関で受け付けています。こちらの機関では、起業に関するさまざまな相談に対応しており、無料で活用できるため、起業を考えていらっしゃる方は積極的に活用しましょう。

日本政策金融公庫をはじめとする政府系の機関では、ワンストップ相談窓口「Plus One」を設け、事業内容やフェーズに応じて各種支援制度の紹介をしています。税務関連については税務署でも対応していますので、税務に関する疑問がある場合は相談してみるとよいでしょう。

 

広告代理店は小規模で起業し、成功につなげよう

広告代理店は小規模で起業し、成功につなげよう

広告代理店を立ち上げる際、自宅を活用して一人で始めることも可能であり、起業へのハードルは比較的低いといえます。また、起業の構想段階で具体的な事業のビジョンを明確にし、事業計画書に落とし込むことが不可欠です。事業計画書には、具体的な数字を盛り込み、金融機関への融資申請に備えましょう。

また、資金繰りに注意を払い、運営がスムーズに進むよう計画的に管理することが、失敗を避けるうえで欠かせません。収益の見込みがあっても、入金のタイムラグや予期せぬ支出を想定し、運転資金には常に余裕を持っておくことが望ましいと考えられます。資金繰りの計画をしっかりと立て、適切な資金調達方法を選択していきましょう。

広告代理店の売上を安定させるためには、市場のニーズを理解し、独自のサービスを提供できるかが鍵となります。そのため、広告業界のトレンドや法規制に常にアンテナを張っておきましょう。自分のビジョンと市場のニーズを見極め、着実にステップを踏んでいけば、事業の成功に近づきます。

バンカブルでは、広告代理店向けの媒体費の支払いサイト延長サービス「AD YELL PRO」といったサービスを展開しています。顧客数拡大に伴う媒体費に関するキャッシュフローの課題がある場合は、ぜひ弊社サービスの活用もご検討ください。

 

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