債務超過でも融資の借入はできる?可能性があるケースやその種類を紹介
債務超過でも融資を受けたいスタートアップ企業や担当者に向けて、債務超過でも融資を受けられるのかを解説します。債務超過でも融資を受けられるケースやその種類、債務超過を解消する方法も解説するので、ぜひ参考にしてください。
目次
債務超過とは 債務超過が企業に及ぼす影響 倒産リスクが高まる 会社の信用度が低下する 今後融資を受けられない可能性がある 債務超過でも融資を受けられる可能性があるケース 将来的な成長が大きく見込めるビジネスモデルだと評価された場合 返済計画が明確 債務超過の期間が短く、直近の決算で十分な利益が出ている 資産価値が高い不動産を保有している 債務超過でも活用できる可能性がある融資の種類 政府系中小企業金融機関の融資 事業再生融資 新事業活動促進法の経営革新支援 民間金融機関・金融業の融資 DIPファイナンス ビジネスローン 自治体の制度融資 債務超過を解消するための対策 専門家に相談する 資産を売却する 増資で資産を増やす 融資以外での資金調達も検討する 債務超過を解消した企業の事例 経営改善によって債務超過を解消した事例 資本増強によって債務超過を解消した事例 資金繰りの改善が期待できる「請求書カード払い」 「請求書をクレジットカード払いにできる、Vankable 請求書カード払い」とは 「請求書をクレジットカード払いにできる、Vankable 請求書カード払い」を活用するメリット 多様な融資を活用して債務超過を解消しよう
債務超過の状態が続くと、新たに融資を受けられなくなる可能性があります。債務超過でありつつも、経営を立て直すために受けられる可能性がある融資やその種類について知りたいスタートアップ企業や経営者もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、債務超過でも融資を受けられる可能性があるケースとその種類を解説します。
債務超過とは

債務超過とは、企業の純資産がマイナスになり、負債が資産を上回る状態を指します。この状態は、負債総額と資産総額の差を計算することで判断可能です。「負債総額ー資産総額」がマイナスであれば債務超過となります。ここで言う負債には、企業が支払うべき買掛金や借入金などが含まれ、資産には売掛金、現預金、不動産などが含まれます。
債務超過の状態は、財務健全性が低下していることを示し、融資や追加投資を受ける際に不利な条件となることが一般的です。企業はこのような状況を改善するために、資産の見直しや財務構造の適正化、場合によっては事業再構築を行う必要があります。
債務超過が企業に及ぼす影響

債務超過が企業に及ぼす主な影響を紹介します。
倒産リスクが高まる
債務超過は企業に即座に倒産をもたらすわけではありませんが、この状態が長く続くと倒産のリスクが高まります。資金調達が必要な時であっても、企業の信用評価が低下しているため融資が受けにくくなってしまうでしょう。
収益が減少しキャッシュフローが悪化すると、財政的に困窮してしまい、最終的には倒産へとつながりかねません。
会社の信用度が低下する
債務超過は、取引先や金融機関からの信用度を大きく損なう状態です。債務超過状態が続いている企業は、取引の制限や停止に追い込まれることがあります。
新しいビジネスチャンスがあっても、債務超過を理由に取引が拒否されるケースも少なくありません。このような状況を避けるためには、早急な経営改善が求められます。
今後融資を受けられない可能性がある
融資を受ける際には、返済能力が最も重視されます。債務超過の企業は、負債を返済するための十分な資産を保有していないと見なされることが多いため、融資審査で不利になります。
さらに、倒産した場合、資産を処分しても負債を返済しきれない可能性が高いため、金融機関は融資を敬遠します。この状態が続けば、今後の資金調達が難しくなり、企業運営がさらに厳しいものになるでしょう。
債務超過でも融資を受けられる可能性があるケース

業績が長く、メインバンクとの関係が深い企業は、債務超過であっても融資を受けられることがめずらしくありません。特に、長年にわたって銀行との信頼関係を築いている場合、金融機関は過去の取引履歴や現在の経営状況を考慮して融資を検討することがあります。
一方、スタートアップなど新しい企業では、まだそのような信用を築いていないため、融資を受けるのが難しいといえるでしょう。また、金融機関は事業の将来性や返済能力を評価するため、明確かつ具体的な事業計画が必要になります。
将来的な成長が大きく見込めるビジネスモデルだと評価された場合
債務超過の企業でも、将来的な成長が期待できると金融機関が判断すれば、融資を受けられる可能性があります。この場合、融資を元手として増益が見込めるかどうかが重要になるでしょう。特に、ビジネスモデルに成長性があり、収益向上の見通しが立てられることが条件となります。
そのため、具体的で根拠のある事業計画を示す必要があります。事業計画書をつくり込むことで、事業の将来性を金融機関にアピールできるでしょう。事業計画の作成の仕方やコツなどは、以下の記事で解説しています。ぜひご参考ください。
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【事業フェーズ別】スタートアップの事業計画の作成ポイント|事業計画書で重要な要素とは
返済計画が明確
融資を受けるためには、具体的で実現可能な返済計画を提示しましょう。金融機関は融資の際、「返済できるかどうか」を重要な判断基準とします。そのため、返済計画を明確にし、返済能力を示すことができれば、債権回収の見込みがあると評価されます。
返済計画には具体的な数字と期日を盛り込み、金融機関が安心できる内容にすることが望ましいです。
債務超過の期間が短く、直近の決算で十分な利益が出ている
債務超過が短期間であり、直近の決算で良好な利益を上げている企業は、融資を受けやすい傾向にあります。
特に、債務超過になったのが一時的な事態で、その後迅速に回復している場合、金融機関はこれをポジティブな変動と捉えることがあります。十分な利益が出ていることから、企業が返済能力を持っていると見なされ、融資の承認を得やすくなるでしょう。
ただし、大規模な融資を希望する場合は、さらに詳細な財務分析が必要になることもあります。
資産価値が高い不動産を保有している
企業や経営者が高額な不動産を所有している場合、これを担保にして融資を受けられることがあります。特に、不動産の価値が高い場合、金融機関はそれを担保に追加融資を承認する可能性が高まります。
すでに融資を受けている銀行がその不動産に関して詳細を把握していれば、その銀行から追加の融資を受けやすくなるでしょう。
債務超過でも活用できる可能性がある融資の種類

債務超過でも受けられる可能性がある融資の種類と、具体的例を紹介します。
政府系中小企業金融機関の融資
債務超過状態の企業でも、政府系中小企業金融機関から融資を受けることが可能です。日本政策金融公庫や商工組合中央金庫などは、一時的な運転資金や災害復旧資金、経営再建資金などの貸付を行なっています。
これらの機関は、中小企業の支援が目的のため、通常の商業銀行よりも柔軟に融資を行うことが可能です。一時的な資金繰りの問題や、災害からの回復を支援するための貸付条件が設けられており、債務超過の企業でも相談ができます
事業再生融資
事業再生融資は、経営改善や再建が必要な中小企業向けの融資形態です。主に日本政策金融公庫が提供する事業再生・企業再建支援資金やセーフティネット貸付、商工組合中央金庫による通運事業近代化基金融資 などがあり、経営危機に陥った企業の支援を目的としています。
具体的なメリットとしては、債権・債権者を選べ、公正・中立な第三者機関によるサポートにより手続きの透明性を確保できる点が挙げられます。また、新規債務に対する保証も受けることが可能です。デメリットとしては、債権者全員の同意が必要であることや、事業再生融資の審査が厳しいことがあります。
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新事業活動促進法の経営革新支援
新事業活動促進法(中小企業等経営強化法)は、中小企業が経営革新を図り新たな事業活動を促進するために設計された支援法です。これにより、低利率の融資や信用保証を受けることが可能で、特に日本政策金融公庫からの新事業活動促進資金を活用できます。
メリットとしては、経営革新計画に挑戦する事業者には特別利率が適用されるほか、スタンドバイ・クレジット制度や海外展開・事業再編資金も活用可能です。ただし、経営革新計画の作成や承認プロセスには時間と労力がかかるため、その点をデメリットとして考慮する必要があります。
民間金融機関・金融業の融資
民間金融機関や金融業からの融資も受けられる可能性があります。
DIPファイナンス
DIPファイナンス(Debtor in Possession Finance)は、民事再生法や会社更生法などの法的整理手続き中の企業向けに提供される特殊な融資です。この融資は、運転資金不足や、手続き完了後のリストラ活動などに対応できるよう支援するものです。
例えば、三菱UFJ銀行の再生ファイナンスや埼玉りそな銀行の再生サポートなどがあります。
DIPファイナンスのメリットは、企業の再生と、融資期間中は雇用を維持できる点にあります。回復見込みの高い企業にとっては、成功の可能性を高める重要な資金源となるでしょう。
一方で、デメリットとしては、再生計画が失敗した場合に金融機関の企業価値を低下させるリスクがあります。
ビジネスローン
債務超過の状態でも、特定の条件のビジネスローンであれば、融資の承認が得やすいです。具体的には、決算書の提出が不要であるか、担保を提供することが条件であるものになります。
PayPay銀行のビジネスローン、東京スター銀行の スタークイックビジネスローン 、株式会社オリエントコーポレーションの事業融資・ビジネスローンなどを調べてみましょう。
ビジネスローンのメリットは、審査が迅速であり、即日融資も可能な点です。しかし、一般的な銀行融資に比べて金利が高く設定されているため、返済負担が大きくなることや、事業がさらに悪化した場合に債務不履行に陥るリスクがあります。
自治体の制度融資
自治体の制度融資は、地方自治体が中小企業や個人事業主の支援を目的として設けており、金融機関と連携して低利率で融資を行うものです。地元経済の活性化と企業の持続可能な成長を促す狙いがあります。
例えば、福岡県では令令和6年度福岡県中小企業融資制度、京都市では京都市中小企業融資制度などを受けることが可能です。
メリットとしては、自治体が融資の一部を補助するため、低金利での資金調達が可能となります。また、信用保証協会の保証を受けられるため、審査に通りやすくなることも特徴の1つでしょう。さらに、比較的長期間の借入が可能であるため、安定した資金計画を立てやすくなります。
一方で、一般的な融資に比べて手続きが煩雑で時間がかかることが挙げられます。また、融資の金額には上限が設けられているケースが多く、利用条件が自治体によって異なるため、事前の確認が必要になります。
債務超過を解消するための対策

債務超過を解消するには、専門家に相談をする、資産を売却するなどの方法があります。それぞれを解説します。
専門家に相談する
専門家に相談することで、状況に応じたアドバイスや資金調達の方法を提案してもらえます。相談可能な場所としては、商工会議所の経営安定特別相談室や中小企業再生支援協議会などがあります。
また、資金調達コンサルタントや企業再生コンサルタント、税理士といった専門家にも相談可能です。法的手続きや資金繰りに関する専門知識を持っており、事例に基づいた具体的な解決策を提示してくれるため、債務超過を解消する手立てになります。
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資産を売却する
債務超過の状況を改善するためには、会社が保有する資産の売却も1つの手段です。特に使用されていない遊休資産や、事業の本流から外れた土地や建物、機械設備、ソフトウェアなどが対象になります。
これらの資産を市場に売り出すことで、必要な現金を迅速に確保でき、財務状況の改善につなげられるでしょう。
増資で資産を増やす
債務超過を解消するためには、増資を行って資産を増やす方法も効果的です。株式を新たに発行し、株主や投資家へ出資を募ります。
増資によって資金調達を行うと、企業の将来性や株主の支援を基に進められるため、ゆくゆくは融資を受けられる可能性も出てくるでしょう。具体的には、株主割当増資、公募増資、第三者割当増資などがあります。
増資は融資と異なり、定期的な返済や金利の支払いが発生しません。コストをかけずに資金の増加を目指せます。
融資以外での資金調達も検討する
債務超過の企業が検討できる資金調達方法には、下記のような方法があります。
| 資金調達方法 | 概要 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| ファクタリング | 売掛債権を期日より前に現金化できる手段 | ・売掛金を素早く現金化できる ・ファクタリング会社が売掛金の回収を行うため、取引先の信用リスクを軽減できる ・無担保で活用できるケースが多い |
・手数料が発生する ・取引先の信用情報をファクタリング会社に提供する必要がある |
| 手形割引 | 企業が受け取った手形を期日前に金融機関に売却し、現金を調達する方法 | ・手形の満期を待たずに現金化できる ・迅速に資金調達できる |
・割引料が発生する ・手形が不渡りとなった場合、企業の信用が損なわれる可能性がある ・手形割引に頼りすぎると、ほかの資金調達方法が制約されることがある |
| クラウドファンディング | インターネットを活用して投資家や一般の方から広く資金を集める方法 | ・市場の反応を直接確認できる ・キャンペーン自体が効果的なマーケティング手法となる |
・目標金額に達しないこともある ・プラットフォーム側に成功報酬を支払う必要がある ・公開情報だからこそ、競合他社に情報が漏れるリスクがある |
| 請求書カード払い (BPSP) |
企業が受け取る請求書の支払いプロセスを効率化するためのサービス | ・企業間取引において、請求書の支払いにクレジットカード決済が活用できる ・新たな契約や審査が不要 ・代金が後払いになるため、資金繰りの改善が期待できる |
・サポート可能枠を超えた支払いには対応できない ・決済手数料分の利益が減少する ・一時的に負債が増え、信用スコアに悪影響を及ぼす可能性がある |
もし、事業が困難な状況にある場合は、M&Aを検討することも1つの選択肢です。債務超過状態であっても、M&Aによって事業を継続できることがあります。さらに、積立タイプの保険に加入していれば、解約返戻金を活用した契約者貸付も可能です。
また、弊社が提供している、マーケティング費や広告費の分割後払いサービス「AD YELL(アドエール)」(※1)といった支払い分割サービスの活用も、資金繰りの改善につながります。目前に迫った支払いに対応したい場合は、請求書をクレジットカードで支払うことで、最大60日後に支払い延長可能なサービス「請求書をクレジットカード払いにできる、Vankable 請求書カード払い」が有用です。
どちらもキャッシュアウトのタイミングを延長することで、キャッシュフローを適切な管理に役立ちます。融資以外の方法も検討することで、より安定的な経営を目指せるでしょう。
※1 「AD YELL」は、バンカブルが提供しているWeb広告の出稿費用を4回に分割・後払いが可能となるサービスです。請求書払いと法人カード払いに対応しており、オンラインによるお申し込みから最短3営業日でご利用が可能になります。原則として、担保や連帯保証人のご用意が不要(*)で、融資ではなく立替でサポートするため、今後の事業者さまの借入枠にも影響を及ぼしません。これらのサービスを通じて、事業者さまのキャッシュサイクルを改善し、運転資金を圧迫しない形で事業成長を支援いたします。
*「担保・連帯保証不要」は原則であり、場合によってはその限りではありません。ご了承くださいませ。
債務超過を解消した企業の事例

債務超過を解消した企業の事例として、シャープ株式会社や株式会社東芝、ENECHANGE株式会社を紹介します。
経営改善によって債務超過を解消した事例
シャープ株式会社は一時期、製品の大ヒットにより売上が3兆円を超える成功を収めましたが、競争激化により業績が急速に悪化しました。この結果、巨額の赤字が発生し、債務超過に陥ります。
そこでシャープ株式会社は、海外企業からの総額3888億円にのぼる出資を受け入れ、経営改善に着手しました。株主からの出資金も増え、コスト削減と業務効率化を徹底し、債務超過から2年後には数年ぶりの最終黒字を記録しました。
資本増強によって債務超過を解消した事例
株式会社東芝は、2018年3月末に債務超過額が7,500億円に達し、2期連続の債務超過に陥る可能性がありました。上場廃止の危機に瀕していたため、対応策として投資家からの出資により約6000億円の資本増強を行います。結果として2期連続の債務超過を回避しました。
資金繰りの改善が期待できる「請求書カード払い」

超短期的に資金調達を行いたいといったレスキューファイナンスの方法を検討しているなら、債務超過でも活用できる支払い延長サービスである「請求書をクレジットカード払いにできる、Vankable 請求書カード払い」もご検討ください。
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多様な融資を活用して債務超過を解消しよう

債務超過が継続していると倒産リスクが高まり、企業の信用度が低下してしまいます。ただし、債務超過が短期間で、最近の決算で利益が改善していると、融資のチャンスがあります。ビジネスローンや自治体の制度などは、比較的活用しやすい資金調達方法であるため、融資が難しい場合はぜひ検討してみましょう。
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