ドロップシッピングとは?メリット・デメリット、具体的な始め方までわかりやすく解説
ドロップシッピングとは、在庫を持たずに商品を販売することができるビジネスモデルです。このモデルは、特に初心者や小資本でビジネスを始めたい方にとって、魅力的な選択肢です。
本記事では、ドロップシッピングの基本概念からその仕組み、そして実際にビジネスを始めるための具体的な手順を解説します。また、ドロップシッピングを活用する際のメリットやデメリット、成功するためのポイントについても触れていきます。
新しくドロップシッピングでの事業を検討している方は、ぜひご一読ください。
目次
ドロップシッピングとは
■仕入れをしない販売ビジネス
■ドロップシッピングの仕組み
■商品の販売方法
■一般的なECサイト運営との違い
小売業におけるドロップシッピングの動向
ドロップシッピングのメリット
■在庫を持たずに商品を販売できる
■梱包や発送の負担がない
■運営場所の自由度が高い
■自由に価格設定できる
ドロップシッピングのデメリット・注意点
■仕組み的に利益が出にくい
■自社では防げないトラブル発生の可能性がある
■販売できる商品に制限がある
ドロップシッピングを始める流れ
■ステップ1:商品の取扱い先探し
■ステップ2:商品を販売する窓口の作成
■ステップ3:集客
ドロップシッピングでの失敗を防ぐポイント
■ニーズや利益を分析したうえで商品を展開する
■入れ替えをしながら複数の商品を取り扱う
■さまざまな集客方法を検討する
ドロップシッピングを始める際によくある疑問
■DSPはなにを基準に選ぶ?
■ドロップシッピングのトラブルはどこに相談する?
ドロップシッピングは低リスクで事業を始められるビジネスモデル
ドロップシッピングとは
ドロップシッピングは在庫を持たずに商品を販売する、革新的なビジネスモデルです。本章では仕組みや特徴、一般的なインターネットショップとの違いについて解説します。
■仕入れをしない販売ビジネス
ドロップシッピングは、仕入れや在庫を持たずに商品を販売するビジネスモデルです。一般的なビジネスモデルでは、販売者はメーカーや卸業者から商品を仕入れたうえで注文を受け販売します。
一方、ドロップシッピングでは、販売者は商品の注文を受けると、直接メーカーや卸業者に発送を依頼します。仕入れに伴う初期投資や在庫リスクを抱えることがないため、低リスクで多様な商品を扱うような事業を展開したい場合に有用な手段といえるでしょう。
■ドロップシッピングの仕組み
前述したように、ドロップシッピングは販売者が在庫を抱えることなく商品を販売する仕組みです。例えば、ECサイトや紹介ブログを通じて顧客からの注文が入ると、販売者はメーカーや卸業者に対し商品の発送を依頼します。顧客は商品代金をメーカーや卸業者に支払い、その一部がドロップシッピングを運営する販売者の報酬となります。
ここでのポイントは、販売者は商品の在庫を持たないため、在庫リスクを負うことなく、比較的低リスクでビジネスを展開しやすいことにあります。また、商品ラインナップの拡大が容易な点も利点の一つでしょう。
ドロップシッピングは、在庫を抱えるモデルに比べ、運営の手軽さとリスクの低さが魅力のビジネスモデルといえます。
■商品の販売方法
ドロップシッピングでの商品の販売方法は主に二通りあります。
まず一つ目は、メーカーやドロップシッピング・サービス・プロバイダー(DSP)と契約し、自らが運営するサイトでの注文に応じて商品の発送を依頼する方式です。ドロップシッピングのなかでは一般的な手法で、DSPを活用することでメーカーなどとの個別交渉が不要になり、より手軽にビジネスを開始できます。また、メーカーやDSPが直接顧客に商品を発送するため、物流面での手間もかかりません。
二つ目の方法は、無地の商品にオリジナルデザインを施し、注文が入るたびに業者に制作と発送を依頼する方法です。この方式のメリットは、オリジナリティの高い商品展開が可能であることと、少ないリソースで幅広い商品ラインナップを実現できる点にあります。例えば、一つのキャラクターデザインでスマートフォンケース、マグカップ、トートバッグなど、さまざまな商品を展開することが可能です。
■一般的なECサイト運営との違い
ドロップシッピングと一般的なECサイト運営との大きな違いは、在庫管理と物流の取り扱いにあります。
従来のECサイト運営では商品の仕入れ、在庫保持、発送、請求処理といった一連の業務を運営者が行います。
これに対し、ドロップシッピングでは運営者は商品の宣伝と受注に専念し、商品の発送や請求処理はDSPやメーカーが担当します。そのため、運営者は在庫リスクを負わずに、幅広い商品を提供できるようになります。
関連記事:
小売業におけるドロップシッピングの動向
世界の小売業におけるドロップシッピングの市場規模は2021年に約2,183億7,000万米ドルと評価され、2022年から2029年には28.8%以上の成長率(※1) に達すると予想されています。オンライン小売業者の約27%がドロップシッピングを採用していることから、このモデルが業界内で広く受け入れられていることがわかります。
ドロップシッピングの魅力は、在庫を抱えるリスクなしに多様な商品を扱える柔軟性にあり、小売業における重要なトレンドとして位置づけられています。また事業者にとっては、在庫や物流への投資コストをおさえる手段となり得る点も魅力の一つです。
このように、ドロップシッピングの市場が成長している背景には、小売業者がコスト削減による利益増を見込んで、ドロップシッピングへの依存度を高めていることも挙げられるでしょう。市場の成長は今後も続くと見込まれるため、小売業においてドロップシッピングのビジネスモデルの注目度はさらに高まることが予想されます。
※1 参照:ドロップシッピング市場規模は2029年までに1653.94億米ドルに達する見込み – 最新予測 | NEWSCAST
ドロップシッピングのメリット
ドロップシッピングは、在庫リスクや発送にかかる業務の負担を抱えることがないなど、さまざまなメリットがあります。ここでは、各メリットについて詳しく解説していきます。
■在庫を持たずに商品を販売できる
ドロップシッピングでは、実際の商品はメーカーや卸業者が保有しており、販売者は商品の在庫を抱える必要がありません。在庫を持つビジネスモデルでは、商品が売れ残った場合には、その在庫のコストや保管スペースが大きな負担となります。また、次の仕入れのための資金確保も難しくなる可能性もあるでしょう。
ドロップシッピングでは、このような在庫リスクを軽減させることができます。在庫に関わるリスクやコストを削減しつつ、効率的に商品販売を行える魅力的なビジネスモデルといえるでしょう。
関連記事:
在庫管理の基本をわかりやすく解説!自社に合った在庫管理システムを構築しよう
■梱包や発送の負担がない
販売者は、注文が入ったらその情報をメーカーや卸業者に伝えるだけで済みます。商品の梱包や発送は商品の現物を持っているメーカーや卸業者側が全て行うためです。
梱包や発送に要する人件費をおさえることができ、物流がスムーズな場合は注文が入った当日に発送することも可能となります。
■運営場所の自由度が高い
ドロップシッピングは、インターネットに接続できる環境さえあれば、場所を選ばずに始められます。在庫の保管や商品の発送を自分で行う必要がないため、オフィスや店舗のような物理的な運営拠点も不要です。そのため、自宅やカフェ、さらには海外旅行中でも仕事ができます。
このように場所に制限されることなく、さまざまなライフスタイルに合わせてビジネスを展開できる柔軟性はドロップシッピングの大きな魅力の一つといえます。
■自由に価格設定できる
ドロップシッピングでは販売者が商品の価格を自由に設定できます。販売価格を高くすれば、その分利益も増えることになります。
販売戦略を柔軟に立てることができるため、市場の需要や競合との価格比較をふまえ、利益の最大化を目指した価格設定が可能です。例えば、特定の季節やイベントに合わせて価格を調整したり、限定セールを実施するなどの戦略も展開できます。
ドロップシッピングは柔軟な販売戦略のもと、商品の価格設定を通じて利益の最大化を目指せるビジネスモデルといえるでしょう。
ドロップシッピングのデメリット・注意点
ビジネスモデルとして魅力の多いドロップシッピングですが、実際に運営するにあたっておさえておきたいデメリットや注意点もあります。
■仕組み的に利益が出にくい
ドロップシッピングは、主に他社が開発した商品を取り扱うビジネスモデルであり、多くの競合他社が同じ商品を販売しています。そのため、商品自体で差異化を図ることは難しく、どうしても価格競争に陥りがちです。
価格競争に打ち勝つには、販売価格を下げるほか、仕入れコストの削減がポイントとなります。例えば、大量仕入れによるコスト削減が効果的ですが、ドロップシッピングの場合「在庫を持たない」という特性があるため、この手法はとれません。
販売価格を下げると、その分利益も減少します。ドロップシッピングで利益を上げるためには、単に価格で競争するのではなく、マーケティング戦略の再構築や顧客サービスの質を高めるなど、商品以外の価値で差異化を図ることが必要になります。
■自社では防げないトラブル発生の可能性がある
ドロップシッピングでは、自社で直接コントロールできないトラブルが発生することがあります。例えば、在庫状況がリアルタイムで更新されないことで、顧客からの注文後に欠品が発覚するケースが考えられます。また、梱包や発送を外部の業者に依存しているため、発送遅延が生じた場合に速やかな対応が難しく、顧客満足度の低下につながるリスクもあります。
このような問題が起こり得ることを事前に認識し、適切に対応できる準備をしておくことが重要といえます。ドロップシッピングは手軽に始めやすいビジネスモデルですが、運営上のトラブルに対して柔軟に対応するための体制を整えることが必要不可欠です。
■販売できる商品に制限がある
ドロップシッピングでは販売できる商品に制限があります。これは扱える商品がDSPや卸業者が扱っている商品に限定されるためです。
特に、人気商品が在庫切れとなった場合、在庫を持たないドロップシッピングでは迅速な対応が困難になります。一方、在庫を抱えて販売する方法なら、売れ筋商品をあらかじめ大量に仕入れておくことで、このような問題に対応することが可能です。
ドロップシッピングは初期投資をおさえられる反面、取り扱うことができる商品の範囲や在庫対応の面で制限があることを踏まえた戦略を練る必要があります。
ドロップシッピングを始める流れ
ドロップシッピングを活用した事業を始める流れを解説します。大きく分けると三つのステップがあります。
■ステップ1:商品の取扱い先探し
ドロップシッピング事業を始めるにあたって、まず行うことは商品の取扱い先を見つけることです。DSPを活用すると、ドロップシッピングに適した多様な商品を一括で探すことができ、効率的にビジネスをスタートさせることが可能となります。
また、メーカーや卸業者と直接交渉して契約を結ぶ方法もありますが、初めての場合や実績が少ないと交渉が難航することもあります。そのため、新しくドロップシッピングを始める際は、DSPの活用が第一選択肢となるでしょう。ただし、より独自性のある商品を取り扱いたい場合は、メーカーや卸業者との直接契約に挑戦する価値もあります。
■ステップ2:商品を販売する窓口の作成
次に商品を販売する窓口、販売チャネルをつくります。例えば、楽天やAmazonなどの大手のショッピングモール型ECサイト(モール型)に出店する方法が一般的です。大きなプラットフォームの集客力を活用することで、すでに確立された顧客基盤へのアクセスが可能になります。
また、個性やブランドを前面に出したい場合は、自社ECサイトを構築する方法もあります。自社ECサイトの構築方法はさまざまありますが、例えば、ASP(アプリケーションサービスプロバイダ)のサービスを活用することで、比較的簡単に自社ECサイトを構築できます。
どの販売窓口が適しているかは、目指すビジネスモデルやターゲットとしたい顧客層を踏まえて検討する必要があります。
関連記事:
【初心者向け】自社ECサイトを運営するには?メリットや作り方、成長企業事例などを解説
■ステップ3:集客
最後に集客に焦点を当てた施策を実行していきます。商品販売の窓口を作成しても、その存在が知られていなければ顧客は訪れません。
例えば、SNSを活用して商品の魅力をアピールしたり、ターゲットに合わせた媒体での広告出稿や、検索エンジンで上位表示されるように行うSEO対策も手立ての一つです。ユーザーニーズを捉えたキーワードを意識したコンテンツ作成や、ユーザーに役立つ情報を提供することが、中長期的な集客につながりやすくなります。
このように、ドロップシッピングで成功するためには、さまざまな手法を駆使して目標の顧客層にアプローチする、集客活動が大きなポイントだといえるでしょう。
ドロップシッピングでの失敗を防ぐポイント
ドロップシッピングは競合が多く、競争が激しいビジネスモデルです。ビジネスを有利に進められるよう、事業を成功させるポイントをおさえておきましょう。
■ニーズや利益を分析したうえで商品を展開する
事業の立ち上げにおいて共通する重要なポイントとして市場のニーズや予想される利益を分析したうえで商品を選定しましょう。
市場・自社商品分析方法の参考:https://vankable.co.jp/lp/contents/793?service=adyell#p5
また、仕組み的に利益が出づらい側面もあるため、商品の仕入れ価格と販売価格から利益率を計算し、実際に利益を生み出せる商品を選ぶこともポイントです。
市場ニーズと利益率をしっかり分析し、適切な商品選定と展開を行うことが事業成功の鍵を握ります。
■入れ替えをしながら複数の商品を取り扱う
ドロップシッピングでは、商品の選定と定期的な入れ替えが欠かせません。例え、吟味して選んだ商品でも、市場需要の変化やトレンドの移り変わりによっては想定通りに売れない可能性があります。
このような状況に対応するためには、商品のラインナップを定期的に見直し、入れ替えを行うことが求められます。また、複数の商品を扱うこともポイントです。メーカーや卸業者で一時的に在庫切れが発生した場合でも他の商品で利益を確保できるため、事業のリスクを分散できます。
■さまざまな集客方法を検討する
集客にはさまざまな方法があります。例えば、SNSとターゲットの相性がよければ、まず、X(旧Twitter)やInstagramでの小コストで広告出稿をするテストマーケティングを実施しながら集客効果を検証することも一つです。
効果が一定規模で出始め、より集客投資を検討する段階で、集客資金が必要になるケースもあります。そのような場合は、広告費の4分割・後払いサービス「AD YELL(アドエール)」(※2)のようなBNPLのサービスを活用することで、キャッシュフローの圧迫をおさえることができます。資金面の課題から広告出稿に踏み切れない、という場合はぜひ一度弊社にご相談ください。
※2「AD YELL」は、バンカブルが提供しているWeb広告の出稿費用を4回に分割・後払いが可能となるサービスです。請求書払いと法人カード払いに対応しており、オンラインによるお申し込みから最短3営業日でご利用が可能になります。原則として、担保や連帯保証人のご用意が不要(*)で、融資ではなく立替でサポートするため、今後の事業者さまの借入枠にも影響を及ぼしません。これらのサービスを通じて、事業者さまのキャッシュサイクルを改善し、運転資金を圧迫しない形で事業成長を支援いたします。
*「担保・連帯保証不要」は原則であり、場合によってはその限りではありません。ご了承くださいませ。
ドロップシッピングを始める際によくある疑問
最後に、ドロップシッピングを始めるにあたって、よくある疑問を取り上げ解説します。
■DSPはなにを基準に選ぶ?
DSPを選ぶ際には商品のラインナップや在庫数、利用にかかる費用、そして発送の速度などが重要な基準となります。商品の多様性や充分な在庫があるDSPを選ぶことで、顧客のニーズに広く応えることができるでしょう。
また、複数の販売チャネルと連携しやすいDSPを選択することで、販売の機会を広げることができ、より多くの顧客にアプローチすることが可能になります。
■ドロップシッピングのトラブルはどこに相談する?
ドロップシッピングでは、DSP業者から高額な初期費用を要求されたり、約束されたサポートが提供されないなど、トラブルに見舞われる可能性があることを念頭においておきましょう。
このようなトラブルに直面した際は、消費生活センターへの相談をおすすめします。消費生活センターでは、トラブル解決に向けたアドバイスや、具体的な対応策を提示してくれる専門家を紹介してくれます。
ドロップシッピングは低リスクで事業を始められるビジネスモデル
ドロップシッピングは、在庫を持たずに商品販売を開始できるビジネスモデルであり、在庫を抱えるモデルと比べて、初期投資を抑えながら事業を始めることができます。デメリットや注意点は存在しますが、適切な対策とフェーズによって集客投資を実行していくことで、利益につなげることが可能です。
商品の仕入れや在庫管理のハードルを越え、効率的にビジネスを開始できるため、例えば、今後ECビジネスを本格的に始めたい人の入口や副業、また新事業展開時の検証など、ビジネスの可能性を広げる一つの選択肢としても考えられます。
今後、ドロップシッピングの仕組みを事業の手法としてご検討されてみてはいかがでしょうか。
ADYELLを活用して、
さらなる事業成長へ